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" 好き " というのは不思議なもので、一度落ちてしまえば募るばかりだ


今日は火曜日、燃えるゴミの日

大きなゴミ袋を両手で持ち上げ家を出る

太宰さんは、ゴミを出した後に起こすつもりだった



「やあおはよう、ところで君は、どうして私を頼ってくれないんだい?」




__と、何故か降り掛かる彼の声

振り返ってみれば、今さっき通り過ぎたお隣さん家の扉の前に、太宰さんその人が佇んでいて

一目見るなり、朝から胸が元気に騒いだ



「そんな重いもの、私に運ばせれば良いのに」



太宰さんは柔らかい表情のまま、目線を私の顔から手元の方へと移して

その意味に気付いた私は、すぐに大きく首を振る



「これは私の家から出たゴミですから、自分で運びます!」

「ふうん、そう云うと思ったよ」



結構強めに断りを述べたつもりなのだけど

太宰さんは受け流すように肩を竦めて、また私に視線を戻すとにっこり笑う



「まあ、無理やり頼らせるまでだけど」



云い終わらぬうちに伸びてきた包帯の手

その大きくて綺麗な手は、私からゴミ袋を奪おうとするものだから


「わ、ちょっと、太宰さん!」


頼ってなるものかと、ゴミ袋を遠ざけても、太宰さんに諦める気配は見られなくて



「___あっ」

「ふふ、私の勝ちだね」



手の力が緩んだ一瞬の隙に、太宰さんは私からゴミ袋をかすめ取ってしまう

その一瞬が生まれたのは、太宰さんの手が、私の手に触れたからで



「次からは大人しく、最初から私を頼り給え」



___ " 好き " がまた一つ、心を満たした






ところ変わって、お昼時を迎えた探偵社

素早く仕事に一段落着けて立ち上がった私が、辺りを見回し探すのはあの人だ



「与謝野さん、太宰さん知りませんか?」

「太宰なら応接間で見たよ」



朝のお礼がしたかった

というのは嘘で、お礼は本当だけど下心もある


彼は今日もきっとお昼を持って来てない筈だ

なんて、半ば願望の混じった推測のもと、実は毎日多めに作っている自分用のお弁当

二人分作らないのは私の小さな意地だった


与謝野さんの言葉通り、応接間を覗き込むと目に入った砂色の外套

太宰さんはちょうど賢治君を呼び寄せていて




「賢治君に、頼み事があるのだけど」

「はい! 何でしょう、太宰さん」

「また私の引っ越しを手伝ってくれないかい?」




____私の知らない話をしていた




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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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