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お風呂上り、なのだろうか

月の光に照らされた太宰さんの髪が、濡れていつもよりしなやかだった



「……お休みなさい」



太宰さんを一目見た瞬間

急な心拍の上昇に胸が痛むから、ベランダに踏み入れた足はそのまま回れ右

取って付けたようでも一応挨拶を口にした背中に声が降り掛かった



「一杯だけで良いから」



振り向いたら負けなのに

そんなの判りきっているのに、どうしてこの首は太宰さんの方を向くのだろう

解けかかった首もとの包帯が色っぽい、だなんて絶対に思うものか



「飲んだら眠れるかもしれないだろう」

「……それは、そうかも」



手を伸ばして受け取ったお酒は酷く冷たい、と思ったけど違った、私の体温が高いんだ

ドキドキする私を冷静に客観視する私がいて、何だか不思議な気分で現実感がしない



「あ、間違えた」



太宰さんの声が耳に届いたのは、自分を落ち着かせようと、お酒をぐっと口に傾けた時だった



「それ、私の飲みかけのやつだ」

「……ゲホッ、ゴホッ」



盛大にむせて咳き込んだ、でもこれは仕方のない不可抗力だ__だって、このタイミングでの、不意打ちの間接キスなんて

顔赤いね、って私を揶揄うように見てくる太宰さんなんか見えないし聞こえない



「あつい……」



火照る顔を手で扇ぎながら、新しいお酒と交換してもらったのも束の間

こんな夜会で、話題も見つからず沈黙する私は他にすることもなくて、すぐにお酒は底をついてしまう



「そんなに勢いよく呑んで大丈夫?」



困ったように笑うも様になるの、ずるいなあ



「だいじょーぶ、です……」

「そうは見えないけど」



肩を竦めて部屋の中に入った太宰さんが、戻ってきた際には手にコップ

差し出されたその中身は冷たい水だった

酔いが覚めたらまた眠れないんじゃないか

という考えには、現時点で酔いの回っている頭では至らなくて、舌足らずなお礼を述べて受け取ろうと

したのだけど



「……ん」




どうしよう

太宰さんの手、冷たくて気持ち良い

男のくせに綺麗で、指は細くて長くて、でも男らしく大きくて骨ばった手

って、あれ

何で握り締められてるの?




「……有り難うございます」

「あれ、酔い覚めた?」



強く頷いてから、このお水は酔い覚めの念押しに頂きます、と一気飲みした

空のコップを突き付ければ、太宰さんは微笑んで受け取って、髪を片耳に掛けながら




「あついねえ……」




この熱さはきっと、お酒の所為



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カズハ(プロフ) - 太宰さんの言葉選びが最高すぎてキュンキュンしました!!ありがとうございます!! (8月7日 3時) (レス) @page50 id: a9129a72cb (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - すみません。「 やきもち日和」のパスワードは何ですか? (2018年6月8日 0時) (レス) id: bcda3478dd (このIDを非表示/違反報告)
神羅°(閲覧専用)(プロフ) - 最高です!!太宰さんがかっこよすぎてキュンキュンしちゃいました(歓喜)ありがとうございますw (2018年3月18日 1時) (レス) id: 7fad23618c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 太宰さんかっこよすぎて、キュンが止まりませんでした!完結おめでとうございます! (2018年3月4日 1時) (レス) id: fe3c394919 (このIDを非表示/違反報告)
サッピー(プロフ) - この話最高でした!もう一途な太宰さん最高!ついつい顔がにやけてしまいました!完結おめでとうございます!! (2018年2月16日 12時) (レス) id: d2c3ca49e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どんぐり | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月16日 17時

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