【赤羽 業】毒舌少女は元A組!!part9

毒舌度３４４％ ページ22

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　狭間さんなら頭良いからなんとかしてくれるだろう。そう言った意味を込めて奥田ちゃんが寺坂グループをフォローできるのも束の間、狭間さんはいつの間にか大量の本をイトナ君に押し付けていた。あんな分厚い本読めるなんて流石っす(震え声)


「狭間！ テメーは小難しい上に暗いんだよ！」

「何よ。心の闇は大事にしなきゃ」


　狭間さんがくくっと喉を鳴らす。すると寺坂はイトナ君は頭悪そうだから無理だとかなんとか。それお前にだけは言われたくねぇよ……。怒って良いんだゾ、イトナ君！

　私の念が通じたのかイトナ君がプルプルと震え始めた。


「俺は適当にやってるお前らとは違う。今すぐアイツを殺して勝利を……」


　折角作ったバンダナが破け、黒い触手が出てきた。それを見て狭間さん、村松、吉田は慌てて距離を取り始めた。……なのに、寺坂はその場を動かない。


「寺坂！」

「――俺も考えてたよ。あんなタコ今日にでも殺してーってな。でもな、今すぐ奴を殺すなんて無理なんだよ。無理のあるビジョンなんか捨てちまいな。楽になるぜ」

「うるさいッ!!」


　寺坂に向かって黒い触手が勢い良く飛んでいく。私は思わず頑なに目を瞑ってしまった。





　――バシッと鈍い音が鳴る。





　そっと片目を開けると、寺坂はイトナ君の黒い触手を受け止めていた。





「――……なぁ糸成。一度や二度負けた位でグレてんじゃねぇ。いつか勝てりゃーいーじゃねーかよ。タコを殺すにしたってな、今殺れなくていい、100回失敗したっていい。3月までにたった1回殺せりゃ……そんだけで俺等の勝ちよ」


　イトナ君の頭を殴り、親の工場は賞金で取り戻せ。と簡単に言う。簡単に言うが……確かに事実だ。だって何れ殺すもん。


「……耐えられない。次の勝利のビジョンが出来るまで……俺は何をして過ごせばいい」

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