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「どうしたの? 酷い顔してる」
カルマが眉根を寄せながら私の腕を掴み、体を起こさせる。霞む瞳で彼を見上げれば困惑に満ちている表情。当然だ。数時間前までは整えた格好だったのに、今じゃ顔も服も、全部グチャグチャなんだから。
「さっきまであんなに――」
「ッ……」
カルマの言葉を遮る様に、私は半分起こした体をそのままカルマの方に預けた。焦りだすカルマに構わず、私は彼の背中に手を回し、ギュッと腕に力を込める。
「な、A……!?」
「………………私だけって……」
「え……?」
「私、じゃないって……!」
言いたい事は沢山ある。それを言葉にする事ができず私はしゃくりあげるだけ。
「……A、大丈夫だから。大丈夫だからゆっくりで良いよ」
カルマの大きな手でポンポンと頭を撫でられる。広い胸元で何度も深呼吸を繰り返すと彼の空気で一杯になった。その暖かさに安心するが、まだ上手く喋れない。
ゆっくりで良いから。話聞くから。そんな声が頭上から降ってくる。
カルマのその優しさに甘える様に、縋る様に、私はゆっくりと顔を上げた。
「…………聞いてよ。フラれちゃったんだ」
「え……」
「……悠馬様がね――」
一度口を開けば止まらない。悠馬様を悪く言うつもりはなかったのだが、私は先程の出来事を全て口に出していた。喋れなかったのが嘘の様につらつらと言葉が躍り出る。
あんまり空気を重くしないように、できるだけ笑顔で話すが、カルマが真剣に私の目を見る。その真っ直ぐな目を見ると、何だか私がとても悪い事をしているかの様な錯覚に陥るのだった。
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葵(プロフ) - 浅野月愛さん» こちらでもコメントありがとうございます……! 凄い大胆な盗作宣言頂き光栄ですw勿論読者さん達を信じているので、そんな事はないと分かってます笑 これからも宜しくお願いします。 (2019年1月27日 23時) (レス) id: eeb8e01c6f (このIDを非表示/違反報告)
浅野月愛 - 七夕伝説が盗作したいくらい好き!あ、いや盗作したいけどしませんよ!? (2019年1月27日 21時) (レス) id: e6ca85b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ゆうゆうさん» ありがとうございます!そう言って貰えて光栄です!現在Par11まで公開しております。徐々に公開予定なのでお待ちして頂ければ幸いです。頑張らせて頂きます! (2017年11月18日 21時) (レス) id: 98185949ce (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - アヤさん» 長いよ。え?なにそれ嫌だ…。あー、リンって可愛いね。スラリん(仮)だから略称にするね!やだ!スラリん(仮)でいいの!太郎は嫌! (2017年11月18日 21時) (レス) id: 98185949ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆう(プロフ) - とても面白いです!パスワードがかかっている部分も読んでみたいです。頑張ってくださいね! (2017年11月18日 19時) (レス) id: 4e7930216c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作者ホームページ:https://twitter.com/uranai_aoi/status/929368202894721025
作成日時:2017年6月6日 18時