【赤羽 業】毒舌少女は元A組!!Side Story

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　ゆっくりと顔が近付き、お互いの吐息が掛かる距離まで詰められた。

　ドクン、ドクンと心臓が高鳴る。カルマの息が顔を掠めてくすぐったい。

　黄色い瞳に捕らわれ、体が硬直する。目を逸らしたくても逸らせない。





　…………もしかしなくても……キスされる……。

　何時もなら羞恥心以外の何もない。外では恥ずかしいからやらないで欲しいとしか思わない。





　……でも、今日は違う。純粋に、“嫌だ”……!!


「や、やだッ……!!」

「……」





　――――何で、あの子に触れた手で私に触れるの？ 何で、あの子と同じ唇で私とキス出来んの？


「カル、マ……やめて……ッ！」

「ッ……！」





　私は力一杯カルマの胸板を押した。驚きで動きを止めるカルマ。


「あ……」


　段々と視界が歪み、頬を熱い……涙が伝う。

　私の目の前で焦りながら、カルマがゆっくりと私の体を起こす。何だかそれすら嫌な私は、上半身を起こし、そのまま後ずさった。

　自分でも何がなんだか分からない。カルマが好きなのに……何で、こんなに嫌いなの……。

　溢れ、止まる気配のない涙をパーカーの袖で拭う。


「A……？」

「…………もぅ嫌だ……もう、触んないで……」

「え……？」





「ッ…………もうカルマなんか嫌いッ！ 大ッ嫌いだよ!!」


　…………しまった。と思った時にはもう遅い。一度言った言葉は取り消せない。目の前には目を見開き硬直するカルマ。

　私はどうしたら良いのか分からず、この場から立ち上がり、自分のバッグを掴む。カルマの制止の声も聞かず、そのまま教室を飛び出した。





　ごめん。そんなつもりじゃなかったのに……!!

　自分が何をしたいのか分からない。何がこんなに苦しめてるのか分かんないよ……ッ!!

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