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時間との戦いだと思った。






朝陽が登る。

濃い橙色が、遮光でないカーテンを通り抜けこちらにその色を主張する。
初めはその色を眺める余裕すらあったものの、
その色が眩しい白色の光に変わった頃には、もうそんな余裕はなくなっていた。






数時間前、この部屋でふざけ合っていたのが嘘のよう。


まさか本当にこんなにトントン拍子に事が進むなんて想像していなかったし、

冗談で呟いたことがこんなふうに現実になるとは思っていなかった。








だんだん感覚が短くなる。


例えが見つからないようなジャンルの痛みが、ただただ己の下腹を襲った。

腰がひどく痺れているような気がするけれど、
もはやそれすら定かでないほどの状況。









「っ……………いたいぃ……………」









叫び出したくなるのをぎりぎりのところでなんとか堪える。



波が押し寄せる度に脂汗が滲んで、

割れてしまうのではないかというくらいの強い力で歯を食いしばった。






傍らについていてくれている 卓。

彼が到着してから、もう4時間ほどは経つだろうか。








いざこの時が来たら彼はいったいどんな顔をするのか、

この状況に直面する前まではしっかりこの目で確かめたいと思っていたけれど、

正直そんな余裕すらないほどだ。





確かなものは彼の手の温もりだけ。






痛みの波が襲うたび彼の手の色が変わるくらいに強く握りしめてしまう感覚も辛うじてわかったが、

ひたすらに優しさを孕んだその温もりが心の支えになっているのは確かだった。









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作者名:まいち | 作成日時:2017年9月15日 3時

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