第177話ですよー ページ27
不逞浪士は、全員倒した。
...それで。君は何をやっているんだ。と、うつ伏せになっている隊士を振り返る。
あ「...えっ、」
同じ煙草の匂いがして当然だ。
湧き上がってきた気持ちは 馬鹿にしよう、とかそんなんじゃなかった。
通常運転が出来ないくらいの、衝撃と焦りから、ツーっと冷や汗が伝う。
「真選組隊士が襲われていて神田君が一人で刀を振るっていると思い駆け付けてみれば...
こんな所で何をやっている、土方君」
そう、情けなくも浪士を前に土下座していたのは土方さんだったのだ。
何か言わなきゃ、と 乾いた唇を動かす。
あ「わざわざ加勢していただきありがとうございます、伊東さん」
伊東「構わないさ」
血を払い、涼しい顔で納刀する伊東さん。
土方さんに何かがあったからこうなった...にしても、こいつにだけは見られちゃ行けなかった、と警報が鳴っている。
コクリと唾を飲み込んで、土方さんに向き直る。
あ「...立てますか?」
土方「...おう...」
フラフラと立ち上がった土方さんに肩を貸して、屯所へと歩みを進める。
伊東「そうだ」
一刻も早くこの場を立ち去りたい私に、伊東さんは思い出したように言葉を発した。
足を止めて、何を言われるのか、黙って待つ。
伊東「屯所に戻ってからでいい。神田君、君に話があるんだ」
レンズの奥の瞳は相変わらず何を考えているのか掴みにくい。とはいえ彼は参謀という立場を近藤さんに与えられた。実質的にどこら辺という明確な地位の高さはわからないけど、少なくとも各隊隊長よりは上。よって、私よりは上。ここは伊東さんに従った方が得策だ。
あ「...わかりました」
今度こそ、伊東さんに背を向けてゆっくり歩く。
隣の土方さんは、ずっと下を向いていて、その表情からは戸惑いや悔しさ、焦燥が感じられた。
隣にいるのは土方さんだ。
間違いない。
だけど、なんだかそうでないような、いつもと違うような胸騒ぎがして止まなかった。
きっと、何か理由があってこんなことになったんだ。
伊東さんの視線が、背中に突き刺さっているように思えた。
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練紅龍(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんにちは。幼馴染たちと新参者たち(敵)どいつもこいつも腐れ縁やら因縁やらでつながれてます。ちゃんとそこまで書けるよう頑張ります……! (6月7日 17時) (レス) @page17 id: 0cf84c7016 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは。んー、武州組は兄弟って感じだからオチは高杉さんかカムイなのかな?なんて、また次を楽しみに今日は終わります。 (6月7日 2時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 焦凍さん» ありがとうございます!励みになります...遅筆ですが頑張ります! (2021年10月11日 8時) (レス) id: 817163acd5 (このIDを非表示/違反報告)
焦凍 - めちゃくちゃ面白かったです!続きも楽しみにしています!! (2021年8月21日 2時) (レス) id: 427116d3c5 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - みくるさん» やーありがとうございますー!コメントが燃料補給です...w今から書きますd (2019年2月7日 20時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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