愛してる、愛してない【文スト】 (ページ9)

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・　勘違い(3) ページ9

そして太宰さんは私の後ろを指差す。

そこには壊れかけたダーツの的があった。

その中央には弾丸が綺麗に埋め込まれていたのだ。

「……なっ」

中也が声を漏らす。

「うん。太宰さっきしてたでしょ？
いい感じの距離にあって当たりそうだったから、私も…その、やってみたいなぁって…」

斜め下を向いてリイナは続ける。

「真ん中に当てたらいいんだよね？
できたよ、太宰…」

ちらりと太宰さんの顔を上目で見るリイナ。

……太宰さんに褒めてほしいのかな？

「よくできたね、リイナ」

「………！」

私は目を見開いた。

正直、太宰さんが部下にこんな態度を取るなど私は想像もついてなかったからだ。

リイナを向いている太宰さんは笑っているのだろうか。

さっきまではリイナに対して
あんな酷いことしたのに…

部下をここまで大切にする太宰さんは初めて見た。
そして彼女はそれを分かってない。

太宰さんの『もう一人の部下』は
きっとこんな事されたことはないだろう。

「でもリイナ、あれは弾丸を当てるものじゃないよ」

「え…？」

「は？」

私と押さえてる中也の声がリイナの「え？」という声に反応。

待て。

今、「え？」っていったよね？

こちらを向いた中也と私は目で会話した。

「え、弾丸じゃないの？」

「このゲームはね…」

太宰さんがダーツについてリイナに説明を始めた。

何故か私は
リイナの一言で全て分かった。

まずリイナはダーツをしらない。

だから持っていた弾丸を撃った。

決して裏切ろうとしたわけではなく
単純に興味本位で。

だが、何も言わずに私に撃つのはどうかと思ったリイナは私に言ったのだろう。

『ど』『い』『て』

と。

で、それを私に撃ったと勘違いをした中也がリイナを攻撃。

そこでリイナが守ったのがマフィアの掟だ。

マフィアには3つの掟がある。

『首領の命令には絶対に従うこと』
『組織を裏切らないこと』

そして───
『受けた攻撃はそれ以上にして返すこと』