・ 教育 ページ42
カツカツ…カツカツと聞き慣れた靴音。
でもその音は何時もよりも荒い。
何処かに急いで向かっているようだった。
あれ……
そういえば、何で私が歩いていないのに靴音が聞こえるんだろう?
ふと、私は疑問を覚えた。
「………ん」
ゆっくり閉ざされた瞼を開けると、
まず目に入ったのは太宰の顔だったのだ。
太宰は自分の前を向いて歩いていた。
「わ…!」
私の身体は太宰の腕の中にあった。
これが横抱き、というものだろうか。
この前、カジノで中也がアラナにしていたことを私が太宰にされてる…
内心嬉しく私は感じた。
「…あ、起きたんだ」
小さく声を上げた私に気づいたのか太宰はこちらに視線を変えた。
その太宰は私に対して笑っていた。
……そういえば、私はさっき何をしてて…
何をされてここまで来たんだっけ。
ふと、頭の中に小さな疑問がよぎる。
………そうだ、あの後美江さんにプリズナーの情報のために連れて行かれて、接吻しようとしたところを太宰に───
…太宰に………!
「…だ、太宰っ!
ここ何処ッ!?何でいきなり私の口を…」
思い出した。太宰に助けられた私は口を押さえられてそれでこんなことになってて…
助けられたのは勿論嬉しかった。
だが、太宰の行動には疑問を感じる。
「……あぁ、君をここまで連れてくる為さ」
太宰が口にしたのはこの一言だけ。
でも、太宰はこれを言ったきり…
ここが何処なのか何のためにここに来たのかは教えてくれなかった。
そうして私を降ろそうともしてくれない。
「そ、そうなんだ」
太宰に教えられたとおりの笑顔を作った私は
自分でここが何処なのか考えることにした。
アラナや太宰みたいな推理、推測することは苦手だが……やむを得ずするしかない。
辺りを見回すとすぐ近くには壁、横抱きされている私…そして、ドアが沢山並んでいた。
ドアが沢山並んでいることは、ここは客が沢山泊まれる場所………
………マフィアの経営する、ホテル?
なんでこんなところに私を…?
首を傾げていると、太宰が並んでいるドアの1つの前に…突然立ち止まった。
そのドアを開けてしまえば、私が今まで見たことのないような美しい部屋が現れる。
私の疑問は一瞬でその部屋が吹き飛ばす。
「わあ…」
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時