・ 芥川龍之介(3) ページ18
沢山の黒い物体が私めがけて飛んでくる。
「……なっ」
それは何倍もの多さだった。
攻撃されると予測できなかった私は
その攻撃をもろにくらってしまう。
「ぁぁぁあ!」
無謀な声を叫び声をあげる私は
壁に叩きつけられた。
全身がズキズキと痛む。
倒れ込む私は地面を這いつくばる虫のように動こうとするも動けないかった。
きっと異能も使えないだろう。
───やはり芥川の方が私よりも強い。
それは間違っていない、太宰もわかってる筈。
なのに何で私の方が強いなんて…
「…………銃」
落とした銃がふと私の視界に入る。
『この銃は君にあげるよ。
……マフィアに、私の部下になった証だ』
「………太宰……」
私は震える真っ赤な手を伸ばして銃を何とか取ろうとした。
自分の体よりも銃の方が私の中では何倍も大切なものだからだ。
だが、そんな私の小さな行動は芥川には
無に等しかった。
私の腕は黒い物体…芥川の羅生門によって
押さえつけられる。
そのまま羅生門は私の髪の毛を掴む。
あがった視界にはあの私の銃は入らず、
芥川の憎しみに溢れた顔が見えた。
「…僕は理解した。
太宰さんが貴様を強者と認める限り、
僕は弱者のまま、変わらぬ。」
芥川は足音を立てながら1歩1歩私に近づく。
「だが貴様を殺せば僕は、あの人に…」
「…………」
私は何も言わなかった。
ただ。私の欲しいものを持っている芥川が羨ましい。
そして芥川も私が欲しいものを持っているから恨んでいるんだろう。
──私たちは似た者同士だ。
今、それが分かったから。
どうしても手に入らない欲しいものを
お互いが所持する権利を握っている。
これ以上言葉で張り合っても決着はつかない。
…と、無知な私でも理解できた。
芥川は私の前で止まった。
私を見下すようにして彼は立っていた。
「…何か言い残したことはあるか」
芥川は後ろに羅生門を構えている。
私は言った。
「私を殺しても、
…君はきっと太宰に認められないよ」
……余裕のない筈なのにニヤリとした表情を浮かべる。
「………ッ!貴様……!!」
芥川が私に自身の刃ををふるった。
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作者名:kana | 作成日時:2021年8月23日 20時