【wrwrd】できない【shp】 (ページ16)

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しっくすてぃーんページ16

照れたように笑う彼女から発せられる現実には、はらわたが煮え繰り返るような怒りが広がっていくのに

「いいこ、っていわれたんだよ！おねえちゃんに！すごいでしょ？」

何がすごいかなんて知らない

彼女は、俺と遊ぶために俺の家に来る予定を押して、姉が遊ぶためにここにいるのか

「あたしは、なんにもできなくて、いらないこだけど、おねえちゃんはたまにあたしをほめてくれるの！」

おれが、まっとったのに

「えへへ、だから、あたしがやらなきゃなの。おねえちゃんのために！」

「Aは、おれとあそぶんじゃなかったん？」

「あ、それはね！いこうとおもって」

「Aは！おねえちゃんのためなら、なんでもするん？」

「だって、でも、あたし、なんにも」

「できないから？」

「そ、そぅ…できないから、」

なにをいうとるんや、おれは

なんで、Aをせめとるん？

悲しそうに俺をみる彼女がいる

自信なさげに、いつもの様にできないと言って

俺が彼女に向かって感情的に言葉を発するのは初めてだった

自分でも、何がしたいのか分からない

彼女を傷つけたいわけではないはずなのに

彼女の泣き顔が見たいわけじゃないはずなのに

姉の言いなりになって、俺との遊びを後回しにした彼女に、何故だか苛立つ

「よくないんちゃうの、しょっぴくん」

わかっとるんやって

おれ、やさしくしてやりたいんや

「あ、うつ。いたんだね！」

「Aちゃん、またおねえちゃんにたのまれごとやったんやね。てつだおか？」

「ううん、だいじょうぶ。もうちょっとでおわるよ！」

やってしまった、という思考からぼーっとし始めて

ただ目の前の光景を見るだけ

同じクラスだと言うこと

話したことはあると言うこと

ここに来るまでに大先生から聞いていた

もちろん、彼女が今姉たちの残した委員の仕事、遠足のしおり作りを1人でしていることも

こんなふうに、なかよくしてるひとも、おったんや

自分だけが特別なわけじゃなかった

彼女の唯一の友達ではない

喋る相手もいるし

話しかけてくれる相手もいるんだ

「なに、しんみりしとるん？」

「しょっぴ…？どうしたの、だいじょうぶ？すぐおわるからね、そしたらあそぼ！！」

イベントなんかじゃなかった

俺じゃなくてもよかった

いつの間にか、母の言葉に流されている自分に、気が付いた

「なんでもないで、A。げんきそうでよかったわ」