恋する乙女よ、嘘をつけ。 (ページ14)

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多分実際の時間は3秒か4秒か…それでも僕には1年でも、2年にでも感じられた。

そっとAの唇から離れる。

「…僕、思ってたよりワガママみたい」

瞬きをしたまま。ずっと固まってるA。

…可愛すぎる。もっといじめたくなる。僕のじゃない、ってわかってるのに。
今僕が口づけたその唇も、その可愛さも、その心も。僕のものじゃないのに。

「…チョコの味がした」

…またそうやって僕を許す。今の、海先輩が見てたらどうするの？

本当はもう絶交されたっていいのに。

「…佑亮って素直だね」

僕を褒めるAはどうかしてる。…それ以上にそれに喜ぶ僕もどうかしてる。
人生ではじめて告白したとき、この幼馴染という関係も終わりだと思った。

「佑亮…私、佑亮のことは大好きだしこれからもずっと一緒にいたいって思う。思うけど…」

けど、なんて逆接をつけられたら。もう終わったも同然。

「…私、好きな人がいるんだ」

Aは僕の目を見てハッキリ言った。Aの目はしっかりしてるクセに泣きそうなまでに涙をためていて。

「…知ってる」

僕は強がった。本当は知らなかったけど。僕が知らないAなんて嫌だったから。

「これからも…この関係でいてくれる？」

よわっちい僕からの1つだけのお願い。Aはうんと頷いた。

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