百五十八。香水 ページ8
翔さんの広いバスルームで、シャワーを浴びる。
“Aの使ってるシャンプー、ストックしといたから持って来なくて大丈夫だよ”
翔さんのものが並ぶその隣に、いつの間にか私のヘアケア用品がしっかり揃えられていて
そんな些細な事にも心がギュッと締め付けられる
私は、翔さんが好きなんだな…と自覚する。
身体を洗いながら思い浮かべるのは、“A…”と熱を帯びて私を呼ぶ翔さんの声
早く…会いたい。
“翔が、こんな水商売の女と付き合ってるなんて。ガッカリよ”
会えば、触れれば、きっと
胸の奥に潜む、不安な気持ちは溶かされていくから。
.
シャワーを終えて、
翔さん用のお夜食の準備に取り掛かる。
お店から持参した新鮮な真鯛の切り身を使って、鯛茶漬けにしよう
深夜だし、あまり身体に負担のないものがいい。
冷蔵庫を見ると卵がいくつか残っていたので、翔さんの好きなネギをたっぷり入れた出し巻き卵を添えることにした。
膳に蓋をし時計を見ると、深夜1時を回ったところ。
翔さんからの連絡はないけど、まもなくすれば帰宅するだろう。
彼の帰宅を待つため大きなソファに腰を下ろした。
相変わらず、眠ることを知らない煌びやかな東京の夜景を眺めるけど
それとは逆に、私の身体を眠気が襲う。
ソファから微かに香る翔さんの香りにホッとして、気が付けばそのまま眠りに落ちていた。
.
_____ガチャ、カタッ……
……ん…翔、さん？
寝惚けた頭で、夢と現実の狭間がボンヤリする
カチャ______
『ただいま…』
そっと愛しい声が聞こえて、目が覚める
「あ…お帰りなさい」
寝ぼけ眼で答える私に、翔さんは眉を下げて笑った
『ごめん、遅くなって。こんなとこで寝たら風邪ひくよ。ベッド行こう』
そう囁いて髪を撫でた彼は
そのまま私を抱き上げてベッドルームへ向かった。
広いベッドに私をそっと降ろした翔さんは
ネクタイを緩めながら私の頬に左手を添えて、優しく撫でる。
「ごめんなさい…待ってたのに、寝ちゃってた」
ちゃんと起きたまま迎え入れたかったのに、不覚にも眠ってしまった自分を悔いる
そんな私に翔さんはクスッと笑って
『いてくれるだけで十分だよ』と言って、ネクタイを緩める手を止めて私を抱きしめた。
その瞬間
これまで翔さんから感じたことのない、強い女性ものの香水が香って
私は思わず、彼を勢いよく突き放した________
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ゆり:)(プロフ) - このお話が大好きで再開してくださり、とても嬉しいです。取材を受けられるなんてすごいですね！お店に行ってみたいです！ (2021年10月5日 20時) (
レス) @page31 id: 4c9de357d4 (このIDを非表示/違反報告)
miihoo(プロフ) - こんばんは。お仕事の方もお疲れ様でした。更新もありがとうございます。私もざっくり飲食関係の仕事なので身近に感じて毎回楽しみにしています。そしてこのお話の翔ちゃんが大好きです。続きを楽しみにしてますね！ (2021年10月2日 19時) (レス) @page27 id: 4ea876c979 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 続きが楽しみです！楽しみにしています！！ (2021年9月19日 18時) (レス) id: afb0ab4a24 (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは。元彼女め…とモヤモヤしますね( .. ) この後の展開がドキドキです！！更新楽しみに待っています！ (2021年5月29日 21時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティファニー | 作成日時：2021年5月23日 0時
