やさしい食卓三。【SS】 (ページ22)

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八十二。覚悟【和】ページ22

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『予想的中、おめでとう』

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会社の近くの蕎麦屋でランチをとっている最中

不意に翔さんが口を開いた。

『お前の言う通り、現れたよ』

『…強敵ライバルってヤツ』

あら。

でも、Aさんの店で食事してから、翔さんがAさんの店に戻ったのは二軒目の後だから

あの幼馴染は、俺らと入れ違いで店に行ってたって事か。

『Aだけはやめてくれって』

『俺みたいな男なら、女なんて他に幾らでも居るだろって』

『そう、言われた』

『俺、アイツにどんな風に見えたんだろ』

何それ。そんなの、ただの偏見じゃん。

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「…で？どうなの」

「まさか彼女の事、手離すとか言わないよね」

この人の事だから、返ってくる答えなんて想像つくけど

敢えてカマかける。

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『ある訳ねえだろ』

『Aだけは、誰にも渡さない。絶対に』

…ほらね。

元々デカい目を余計に見開いて、目の前の掛け蕎麦を睨み付けてる翔さんに俺は告げた。

「じゃ、何も心配する必要ないじゃん」

俺の言葉に、翔さんは顔を上げる

「翔さんがAさんを好きな事実と、Aさんが翔さんを好きな事実が存在する以上」

「何も、心配要らないでしょ」

ハッキリ俺がそう言い切ると、翔さんは何処か安堵したような表情を見せた。

『あ、でも。こんな事も言ってたな』

『Aを子供の頃から知るの周りの人間たちが俺を認めない限り、ソイツも俺を認めないって』

いかにも幼馴染って感じの言い分だな。少女漫画みたい。ら

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『でも…彼女の生い立ちを聞いてる限り、それは理解出来るんだよね』

『だから俺、頑張るよ』

『Aのそばに居る為に、頑張る』

『ある意味、本当の親より手強そうだよな、その人たち』

“既に幼馴染が手強いし”

なんて言って、翔さんは戯けるけど。

その言葉の裏には

翔さんの大きな覚悟が見えたような気がして。

この人、またオトコ上げたな…なんて、思ったりする。

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Aさんの幼馴染…確か、“智くん” だっけな

俺の嫁さんも元は幼馴染だから、分かる気がするんだよね。

君のAさんに対する思いも相当だろうと思うけどさ。

マジでここ一番の本気出さないと

この人には敵わないと思うよ。

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別に、味方する訳じゃないけどね。