やさしい食卓三。【SS】 (ページ17)

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七十七。盛況っぷりページ17

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今日は、昔からの常連さんや、最近の方まで、沢山のお客様が見えてくださっている。

久々に手が回り切らないな…という感覚を覚えたけど、それも嬉しい悲鳴だ。

櫻井さん、二宮さん、松本さんの3人が店を出た後には

智くんも店に足を運んでくれた。

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『なんだよ、おっちゃんも来てたの？(笑)』

夜も遅くなったこの時間、店内に残っているお客様は地元のおじさんたちで。

『今日はAちゃんの誕生日だからな！』

『智～忘れてるのか？』

“いや、分かってるけど…”

そう言った智くんは、おじさんたちに近付いて

『てことは、おっちゃんたち毎年来てんの？

本当好きだな～Aのこと』って言って笑ってみせる。

智くんが私の誕生日に店に来たのは、今日が初めてだ。

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『あ、A、誕生日おめでとう。コレ』

そう言って彼は、私に何かを差し出す

『プレゼント』

…え？

『おっ、なんだ智！やるな～』

囃し立てるおじさんたちに構う事なく、智くんは言葉を続ける。

『店で使えそうなの作ってみた』

…作った？

「あの…ありがとう、開けてみていい？」

私がそう言うと、智くんは頷いて席に着いた。

「…わあ」

包みを開けてみると、中には綺麗な浅緑色の丸い器が入っていて。

「これ、智くんが作ったの？」

驚いて私が尋ねると、

『うん。気に入った？』と、彼は言う。

そうだった。

智くんは意外にも物作りが得意で、絵を描かせたらプロ顔負けの作品を描き上げてしまうような腕前の持ち主だった。

こんな器まで作れちゃうなんて…

「うん…凄く素敵。ありがとう」

そうお礼を伝えると、智くんはニカッと笑って “良かった” と言った。

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『後はお若いのでな。邪魔者は退散するよ～』

そんな私たちのやり取りを見ていたのか、良い具合にお酒が入ってご機嫌なおじさんたちが席を立った。

「おじさん、今日はありがとうございました。

あまり飲みすぎないでね」

私がそう声を掛けると “はいよ～ありがとね” と威勢良く言って、店を後にする。

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『ね、毎年こんな？すげー盛況っぷりだね』

今日来てくださったお客様から頂いたお花や贈り物の山を見て、彼が驚く

「あ、うん……有難いよね」

私がそう言うと、智くんは少し考えてからこう言った

『…俺、なんで今まで、こんなノンキにしてたんだろ』