やさしい食卓二。【SS】 (ページ9)

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三十九。披露宴【和】ページ9

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『…二宮さん！

披露宴のスピーチ、よろしくお願いしますね』

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無事に式を終えたようで、少し安堵の表情を浮かべる生田は

白いタキシードをバッチリ着こなし、隙なんて見つけられないほどキマってる。

コイツは、ウチの会社での一つ下の後輩だ。

「おう。会社でのお前の失態の数々を、大勢の前で暴露出来るチャンスだからな」

『ちょっと！(笑)勘弁して下さいよ二宮さん』

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いつもの調子でチャチャを入れつつも、可愛がってきた後輩のメデタい席に感慨深くもなる。

「じゃあ後でな。あ、ハンカチ常備しとけよ？」

そう声を掛けて、新郎の控え室を後にした。

そろそろ着く頃であろう、翔さんを探しに披露宴会場の受付辺りを見回してみる。

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『二宮！』

そう声がした方を振り返ると、群を抜いた良いオトコが笑顔で近付いて来た。

「いや～翔さんのスーツ姿なんて見慣れてるけどさ。こういう場での正装だと一段と垢抜けて見えるね、アナタ」

季節感あるアイスブルーのチーフとシャツが、翔さんの爽やかさを引き立てている。

俺がそう言うと本人は “何だよ気持ち悪りーな(笑)” と言って苦笑したけど。

『あ、生田にはもう会った？』

「うん、スピーチでアレヤコレヤ暴露するねってカマかけてきたとこ」

『またそんな事言って…な、もう会場内は入っても良い感じかな？』

受付を済ませた俺たちは会場内に向かった。

すると、俺たちの前方を歩いている、おそらく新婦側の招待客であろう女のコの集団に近付いた。

おー、結構キレイ所が揃ってるな。

彼女たちを後ろから眺めながらボンヤリそう思っていると、一人の女性に目が留まる。

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……え？マジ？

「あれ？Aさん？」

俺がそう声をかけると、彼女はゆっくりとこちらに振り向き、目を丸くした。

『えっ…二宮さんに、櫻井さん？！どうしてここに？』

「いや、新郎、ウチの会社の部下なのよ。いやー驚いた。そっちは？」

『まあ…そうだったんですね。私は、新婦の高校時代の同級生なんです。すごい偶然』

“それじゃ後ほど”

そう言って、彼女は新婦側のテーブルについた。

その間、気付けば黙ったままで隣にいる翔さんに目を向けてみると

囚われたようにボーッとAさんを見つめ続けるこの人の姿があった。