占ツク「の中」にいます 3

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だめだ。
このままじゃだめだ。

俺は何してるんだろう。さっきの電話にビビっただけで、コンビニに行くと嘘をついて…。


…まさか、こんな近くに実家があるなんて。

冷静に考えれば、Aとは幼稚園が同じだったんだから、Aの家がある時点でここに俺の実家があるってことやんね。

なんで考えつかんかったし。

自分のアホさにつくづくうんざりし、さっきの出来事を振り返る。





相手が指定してきた場所は、俺が最初に通っていた幼稚園…の前にある公園だった。夕方だったこともあり、帰宅途中の幼稚園児が騒がしくしていた。


久しぶりに会った年上の彼は、まだ俺を家の名で縛っていた。

俺を「きょう」ではなく「あまみねの息子」と呼んだ。

天峰。


俺はこの苗字が嫌いだ。いつまでお家柄に縛られないといけないんだ。俺だって別にこうなりたくて生まれてきたんじゃない…。







あれはきっと脅し。俺は何も怖がることなんてない。

(必ず、後悔させてやる…)


Aを巻き込んだりなんてしない。こればっかりは俺自身の問題だ。


(お前の全てを奪ってやるからな…)


俺の過去は、俺自身で決着をつけなきゃ、意味がない。


(一族に背いた報いを…)


『…くっそ……』


もう、ほっといてくんねえかな…。


腕の中に収まったAが、不安そうな目でこちらを見ている。ふと鏡を見ると、険しい顔をした自分と目が合った。


『…ごめん。別にお前に怒ってるわけじゃないから。』


これはおそらく、あの人のせいではなく、


何もできない、自分への怒りなんだろうな。

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