【d!】ひとりでできるもん

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1週間後、荷物を抱えたひとらんさんが寮へやってきた。

「冗談じゃなかったんですね」
「冗談だと思ってたの？」

ひとらんさんはロビーに荷物を降ろすとソファーに座り込んだ。

「兄さん、俺の部屋どこ？」
「……本当に来たんか」
「ダメだった？」
「いや、助かるけど」

お前の行動力怖い、と兄さんはわざとらしく腕を摩った。

「改めてよろしくね、Aさん」
「こちらこそよろしくお願いします」
「家事は一通り出来るから色々できると教えられると思うし…あ、そうだ！ここの庭に畑作ろうか」
「本当ですか！」

喜ぶ私をよそに、兄さんは頭を抱えた。

「グルッペンが許可するか？」
「いいよ、許可なんか取らなくて。あいつ今バラ園の君に夢中だし」
「おい、ひとらん」

兄さんがひとらんさんを注意する。
きっと、気を使ってくれたんだろう。

「兄さん、大丈夫ですよ。グルッペン様が気付く前に大きな畑を作ってしまいましょう」
「そうだね。あいつ驚くかな」
「どうやろなぁ。まぁでも驚く顔は見てみたいな」

目を合わせて笑いあった。
楽しい。
鼓動が早い。
わくわくする。
初めての、気持ち。

きっと2人優しいから。

大丈夫。
グルッペン様、私はあなたがいなくても生きていけそうです。

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