37食目 ページ39
「カインの元でしばらく働き、落ち着いたところで家族へ手紙を書きました。皆、私が死んだと思っていたようです」
そこまで話すとグルッペン様は足を組み直した。
「それで、そのカインと言う男は?」
「亡くなりました。心臓に持病を抱えていたので」
「なぜ、ここに。食堂を引き継がなかったのか?」
「彼がそれを望まなかったのです。跡を継がせるために助けたのではない。ここに縛られる理由はない、と。家族への仕送りを再開したかったので、一番お給料の良いこちらへ勤めることにしました」
一通りは話し終わると、誰かが大きく息を吐いた。
多分ロボロさんだろう。
面布が揺れている。
「なるほど。…Aだったか、改めて礼を言う」
「いえ、私は何も」
「お前がいなければそのナイフは俺の心臓に刺さっていただろう」
テーブルに置かれたN国の国章が刻まれたナイフをそっと触った。
「マルコ、お前もよく毒に気付いてくれた」
「はっ。総統閣下、並びにゾム隊長の訓練の賜物でございます」
「あぁ、膝はつかなくていい。その足では辛いだろう」
「ありがたきお言葉」
……おぉ、マルコがキッチリしてるの初めて見た。
「お前たちもう下がっていいぞ。礼はまた改めてさせてもらおう。トントン、2人を一般棟まで送ってやってくれ」
「こっちや」
トントン様に促され部屋から出る。
ひとらんさんと目が合うと小さく手を振られので、会釈で返すと「またね」と口が動いた気がした。
1616人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らに(プロフ) - ししゃも[watoさん大好き]さん» そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2020年3月13日 21時) (レス) id: 70456fd48d (このIDを非表示/違反報告)
らに(プロフ) - 稲荷神さん» ですよね! (2020年3月13日 21時) (レス) id: 70456fd48d (このIDを非表示/違反報告)
らに(プロフ) - なななさん» 更新ゆっくりで申し訳ないです(´;ω;`) (2020年3月13日 21時) (レス) id: 70456fd48d (このIDを非表示/違反報告)
らに(プロフ) - ゆきなさん» ありがとうございます! (2020年3月13日 21時) (レス) id: 70456fd48d (このIDを非表示/違反報告)
らに(プロフ) - macyaya4さん» ありがとうございます! (2020年3月13日 21時) (レス) id: 70456fd48d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らに | 作成日時:2020年2月12日 22時