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第三章『アリス・イン・ザ・ガーデン』【3】 ページ39

「・・・リリイ? ・・・貴方、何でそんなに落ち着いて?」

 主人が意識を失ったというのに、動じる様子のない真祖に瑠璃が眉を顰めると、

「御園は毎日9時には眠ってしまうんです」

 花を飛ばしながらにこりと笑みを浮かべてリリイはそう言ったのだ。

 確かによくよく様子を見れば、椅子に座らせ直した御園は、うと・・・と船を漕いでいる。

 その姿を見て、「子供か!!」と思わず真昼は突っ込みを入れると、心配して損したとばかりに肩を震わせる。

「今日のところはお開きにしましょう。これ、お渡ししておきますね」

 瑠璃もまた、それに対しては苦笑を浮かべるしかなく、けれど良かったと安堵の息を吐き出すと、リリイから一枚のメモを差し出された。

 受け取ったそのメモには、ウエーブサイトのアドレスと、アカウントが書かれていた。

「今や吸血鬼もネットで情報交換する時代です。ログインしてみてくださいね」

 ―――――それは、いわゆるSNS的なものなのだろうか。

 すっかり、現代に溶け込んでいる吸血鬼の在り様に、マジかよと、真昼が眉を顰めながら呟く。

 ―――――と、「あっ」と思い付いた様子で、真昼は声を上げると御園のほうを振り返り。

「御園! 俺らもアドレス交換しよーぜ」

「・・・・・!」

 その呼びかけに、驚いた様子で御園が目を覚ます。

「し、仕方ないな・・・」

 特別だぞ、という御園の表情は、その時ばかりは、角が取れており、リリイはまた、にこにこと笑みを浮かべながらその様子を見つめていた。

「あ・・・お前アドレス帳少なっ・・・・。瑠璃姉とはもう連絡先の交換は済んでるみたいだけど・・・今度、俺の友達紹介してやろうか?」

「・・・・・っ!!」

 真昼の言葉に、また御園の眉尻が吊り上る。

「お前・・・体弱いんだって? 何かあったら、俺と瑠璃姉とクロ呼んでいいからさ」

 けれど、続けられた真昼の言葉に、登録を終えたスマホの画面を見つめると、「・・・ふん」と満更でもなさそうな表情で応じたのだった。

※占ツク転記/17/5/22
【本館/別館/17・5/19掲載】

朱臣繭子
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2017年5月22日 18時

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