第三章『アリス・イン・ザ・ガーデン』【1】 ページ17
「・・・何がそう云う事なんだ・・・向き合えねー・・・」
動揺のあまり裏返った声を上げた真昼に対して、反仰向け状態から身体を起こした黒猫が、煩いと言わんばかりに、両耳を前足で押さえながら、呆れたように息を吐く。
―――――何事もシンプルに考える、真昼らしい反応ではあるのだが・・・。
「そうよ、真昼君・・・落ち着いて。私とスリーピーアッシュは、まだ、そういう関係じゃないから・・・」
瑠璃もまた苦笑いを浮かべると、左腕にある、真紅のリングを真昼に見えるように掲げ、
「私がスリーピーアッシュと結んでいるのは『誓約』だけよ」
「・・・『誓約』？」
「そう。正式に云うと―――――�犒譴寮戚鶚瓠宗宗宗宗縮戯邂戮忙笋�他の下位吸血鬼から狙われない為に、スリーピーアッシュが結んでくれたものなの」
「・・・�犒譴寮戚鶚瓠�もしかして、初めて会った時に、猫に噛まれたって言ってたあれって、その時クロに・・・？」
「えぇ。でも、血を吸われた訳じゃなくて、ほんとに噛まれただけだったのよ」
�爛潺好肇譽広瓩反秦帖⇔昭圓侶譴��狎戚鵑両抬瓩魘餮讐修気擦襪燭瓩砲鷲�要だったから、と眉を顰めた真昼に瑠璃は告げ、思い返す。
―――――『誓約』のおかげで、この約一月余りの間、他の下位吸血鬼から襲われることなく、無事に過ごすことが出来ていた。
けれど、それだけでなく―――――
「『誓約』を結んだ後、こちらで目覚めてから、スリーピーアッシュが何処にいるのか、私は知らなかったんだけど・・・。―――――何となく、時々、近くに居るような気配は感じていたから、そのおかげできっと無事に過ごせていたのね」
「・・・・・まぁな」
瑠璃が洩らした言葉に、思うところがあった黒猫は、少し間を開けてから頷いた。
大概の下位は、�狎戚鵑両抬瓩帽�められた真祖の気配に、瑠璃を襲う事を諦めるが、それでも稀に命知らずにちょっかいを出そうとする者がいなかった訳ではない。
が、そういうのは、瑠璃に気付かれる前に、追い払っていた。
そうやって、血を吸っていない状態で、少々無理をしすぎて、ダウンしていたところを、一昨日、真昼に拾われることになり、こうして契約をするまでに至ってしまった結果には、やはり�狢嫗騰瓩凌箸箸靴討聾�き合えるものではない。
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作者名：朱臣繭子 | 作成日時：2017年5月22日 18時
