第二十一章『千錯万綜』【2】 ページ47
「そういう中二病的なのいいですから普通に説明してください」
そんな吊戯に対し、またこの人はと言わんばかりのジト目を真昼が向けて。
瑠璃もまた微苦笑を浮かべつつ「月満さんお願いします」と弓景に声を掛けると。
「ったくしょうがねーな・・・・」と弓景は眉を顰めながら自身もまた鍵を手に持って。
「イメージとしては見えない鍵穴に差し込んで、自身に秘められた闇の力をこの鍵で解き放つ!」
説明をしてくれたものの、けれどその内容は吊戯と変わらないもので。
「えと・・・・・・」と思わず瑠璃が眉根を寄せると。
「もういいですから!! 車守さん!!」
真昼がキッと弓景を見遣った後に、ツーコンビの保護者的立場に在る盾一郎にも説明を求めて。
「まったくお前ら・・・まともに答えてやれって」
呆れた面持ちで吊戯たちを見遣った盾一郎の口から、今度こそちゃんとした説明が聞けるかと思われたのだが。
「イメージとしては見えない鍵穴に差し込んで。自身に秘められた闇の力をこの鍵で解き放つ!」
その期待は残念ながらハズレてしまうこととなり。
「あ―――――もうこの3バカは!!」
キメ顔で一語一句全く変わらぬ説明を口にした盾一郎に対し、真昼は頭を抱えこんでしまう。
―――――・・・・・・華麗なる三弾オチ。
そして瑠璃もまた乾いた笑みを浮かべつつ、心中でそう呟くと。
「それで、車守さん・・・・・・その道具って誰でも使えるんですか?」
使い方の説明を聞くのを諦めて、使用者の制限があるのかどうかに関して尋ねてみた結果。
「いや魔術師の家系の奴だけだな。C3にいるのはほとんどが魔術師だ」
今度はちゃんとまともな返答が返ってきて。瑠璃も真昼も胸を撫で下ろしながら、盾一郎の説明に耳を傾ける。
そうしてその説明に際して、手にした長銃を盾一郎は掲げて見せてきて。
「あとは道具との相性なんかもある。俺はこういう撃つ系は苦手で出力が弱くてろくに使えない。でも弓はこういうのが得意だし。・・・吊戯は万能だ。扱いにくい武器もあいつはほとんど使いこなせる」
各々の武器に対する特性を盾一郎は述べた処で。
「・・・あいつがC3のエース。塔間がそう仕込んだ」
ふと、盾一郎は眉を顰めると、道具が手に馴染むかどうかを確認するように、触っている吊戯の後姿を見遣りながら、苦々しい口調でそう言ったのだ。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年4月25日 2時