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第二十一章『千錯万綜』【2】 ページ38

「あと、瑠璃ちゃんとのツーショットも欲しいから。二人とも、ちょっと微笑んでみようか! にこっ♥」

「えっと、吊戯さん・・・・・・何で写真を?」

 食いにくい・・・・と眉を顰めたクロの様子を気にすることなく、自分にまでもデジカメを向けてきた吊戯に対し、瑠璃が戸惑いの面持ちになりながらそう尋ねかけると。

「怠惰の真祖と行動するなんてレアだからさ。たくさん資料撮ってこいって言われて〜〜〜〜〜〜」

 楽な仕事だな―――――〜♥ と吊戯は笑みを浮かべながら、さらにカメラのシャッターを切る。

 しかし、果たして揃って食事をしているだけの姿がどこまで資料として役に立つのだろうか。

 何とも言えない笑みを瑠璃が浮かべると、真昼も「資料・・・?」と眉を顰めながら呟いたのだが。

「あの・・・御園達は捕まったままなんですか」

 その後にまだ此方に来てから会えていなかった主人(イヴ)達の様子を改めて真昼が尋ねかけると。

「心配しなくても快適に過ごしてると思うよ?」

 うん? と吊戯は首を傾げた後に、真昼のほうには目を向けることなく、手元のカメラに視線を落としたまま、撮影した画像をチェックしながら告げてくる。

「手荒なことはしてないはずだよ。こっちの計画が済むまで大人しくしててくれればいいんだから」

 ―――――・・・・・・でもC3の言うとおりにしてたら・・・・・・。

 ―――――吊戯さんが椿の下位達を殺してしま―――――・・・。

 そうしてやはり他人事のような様子の吊戯に、瑠璃と真昼が眉根を寄せながら心中でその想いを巡らせた時。

「あ。吊戯、トマト食うか」

 オレ苦手なんだわ、と近くを通りかかった男性職員が声を掛けてきて。

「もらう〜」と吊戯がそれに笑顔で応じると。

「パン半分あげるよー」

 ダイエット中だからと茶髪の女性職員も声を掛けてきて。

 わ―――――い♥ と吊戯が嬉々とした様子で二人から受け取った処で。

「コラァ吊戯ィ」

 怒りに満ちた弓景の声が聴こえてきて。

「あ、月満さん・・・・・・」

 瑠璃が弓景の名前を呼ぶと。

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年4月25日 2時

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