第二十章『不倶戴天の関係』【1】 ページ42
「まあ、めんどくせーけど。しょうがねぇか」
黒猫は頷いて―――――その後、どんどん下降していったエレベーターが辿り着いたそのフロアは『d6階』という処で。
ポ―――――ン・・・という音とともに扉が開かれたエレベーターから真昼と瑠璃が下りると、まず目に入ったのはフロアの中央に設置された巨大な木のオブジェだった。
「黒い・・・木・・・のオブジェ・・・?」
真昼が呆然と木を見上げながら呟く。
「これって・・・・・・」
そっと瑠璃が木に向かって手を伸ばすと、その刹那―――――ズズッと木の根元から、黒い線のようなモノが足元に向かって伸びてきて。
「瑠璃!! 真昼も足元注意しろ!!」
瑠璃の肩に乗っていた黒猫が叫ぶや否や、すぐさま人型に戻って瑠璃を抱きかかえたものの。
「えっ!? クロ!?」
「うわっ、何・・・!?」
そこから具現化した2つの漆黒のキャスター付き背凭れ椅子に、気づけば真昼とともにクロもまた腕の中に抱いていた瑠璃を膝の上に横向きで乗せた状態で、そのまま座る体制に変わってしまっていて。
「・・・・・どうなってんだ・・・・・・?」
眉を寄せつつ、クロが言う。
瑠璃もまた、突然の事態に驚愕しながらも、ふと、真昼が座っている椅子の背凭れの裏側に黒い鍵が刺さっているのに気づき。
―――――あれって月満さんが使っていた『鍵』と同じ?
―――――もしそうだとしたらこれも『魔術』の類ってことになるんじゃ・・・・・・。
眉を顰めたその直後、黒い鍵がガキンと回転して。
「きゃっ!?」
「わわっわああ〜〜〜〜〜〜?!」
シャアアアアッ―――――と猛スピードで、2つのキャスター付き背凭れ椅子はフロアの奥にあったカウンターらしき場所の前まで勝手に進んで行って。
ガコン! とそこで停止すると―――――
『ご来訪ありがとうございます。ご用件の入力をお願いいたします』
ヴンという音とともに、真昼の目の前に受付表と書かれた画面とキーボードが具現化して、そんな音声案内が聴こえてきたのだ。
「受付表・・・? これ書けばいいのかな。名前・・・城田真昼・・・と」
そろっとキーボードに真昼が手を伸ばすと自分の名前の入力を行い。
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2021年1月15日 20時