第十七章『臆病者の唯一無二の想い』【2】 ページ6
一方で―――――
「真昼のアニキに瑠璃。それに怠惰のダンナ・・・」
「城田・・・! 瑠璃・・・! クロが戻ったのか!」
鉄と御園が発した声に「ああ」「えぇ」と答えた二人はぱっと振り返ると、
「みんな無事なのか?」
「・・・いや、ヒューが・・・」
真昼からの問いかけに、ヒューが愛用する煙管を握りしめた鉄が、悄然とした面持ちで視線を俯ける。
「ヒューくんに何があったの?」
その鉄の様子から、只事ではないことがあったのだろうと、感じ取った瑠璃が眉を寄せながら聞き返すと。
「ヒューが敵の攻撃で消えてしまって・・・行方がわからない。強欲の二人はこの上にいる。No.2らしきヒガンという男も上に・・・」
御園が事情説明をするのと合わせて、現状把握している情報も告げてきて。
「鉄! 大変だったな」
そこで真昼がポンと右手で鉄の左肩を労うように叩くと。
「じゃあ・・・ロウレスとリヒトさんを助けて」
「ヒューくんも捜さないといけないわね!」
真昼に続き瑠璃もそう宣言した。
すると―――――
「調・・・子に乗んなよォ、クソガキがァ〜〜〜☆★☆」
悪鬼のごとき形相になったベルキアが、先程からずっと左手に持ったままでいた三本の剣を構えながら真昼に対してそう叫び。
「セリフが三流だ・・・ばかめ。―――――オトギリ女史、お嬢には出来る事ならば、早々にこの場から離れて頂きたい。お嬢のことは頼んでも良いだろうか」
シャムロックはそんなベルキアに呆れの眼差しを向けた後、後ろ側で無数の糸を操って空中に腰を据えていたオトギリにそう言うと。
「そうですね・・・・・・瑠璃さんに大きな怪我を負わせてしまうのは困りますから・・・・・・」
コクとオトギリは頷き返したのだが。
しかしその時、真昼が右手に握りしめていた武器を掲げる仕草をすると、バチバチバチバチと音を立ててその形状が変化し始めて。
―――――城田の武器が・・・形を変えていく!?
―――――ホウキ・・・じゃない。これは・・・
―――――槍!!
瞠目した御園の視線の先で、新たな形として槍に変わった武器をドンと真昼が構えながら不敵な笑みを浮かべると。
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マユ(プロフ) - 感想&応援メッセ下さって有難う御座います!こうしてコメントを頂けるのは本当に嬉しく励みになります!これからも頑張って書き進めていきます! (2020年11月28日 0時) (レス) id: 58c018d700 (このIDを非表示/違反報告)
らぶたん(プロフ) - 今回も面白かったです。これからも応援しています! (2020年11月27日 23時) (レス) id: 74fbd3ebea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年10月25日 13時