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第十八章『許すものと赦されざる存在』【3】 ページ44

「・・・・・・椿っ」

 しかし、眼鏡の男が目を光らせている為に、身動きが取れない瑠璃はロッドを握りしめながら、痛切な面持ちでそれを見ている事しか出来ず。

「・・・ッ」

 そして椿が追い込まれていったその時―――――

「炎・・・!」

 突如として椿と吊戯の間に炎の壁が現れたのだ。

 そこで吊戯が瞠目の面持ちになった一方で、

「ヒガン・・・!?」

 ハッとなった椿が視線を向けると、完全に意識を喪失していたはずのヒガンが目を覚まして、自らの血を媒介に右手を地面に触れさせながら、炎を作り出したのだと理解したのだが。

「椿、ライラ(その子)だけ連れて逃げな」

「!?」

「猟犬相手じゃあまりに不利だ・・・ここは致し方ない」

 起き上がる事はやはり無理なようで、俯せ状態のまま、顔だけを此方に向けながら、ヒガンが口にしてきたその言葉に椿は絶句してしまう。

「君らを置いていけるわけないだろう」

 そして椿は声を震わせながらヒガンにそう言い返したのだが。

「行け・・・大丈夫。お前までここでやられてどうするんだ」

 しかし、ヒガンは変わらず静かな声のトーンで告げてくる。

「・・・それに大丈夫・・・知ってるさ。お前は誰も裏切らない・・・だろ?」

 そして悲痛な表情となった椿に対して、ヒガンが最後の後押しとばかりに、笑みを浮かべて見せると。

 視線を俯けた椿はギリッと奥歯を噛みしめる仕草をした後に、ライラを右脇に抱えると。

 ばっ、と天井の穴に向かって跳躍して行って。

「あっ・・・! まっ・・・待て!!」

「椿!! ライラ・・・!!」

 撤退を選択した椿に対して真昼が咄嗟に声を上げると。

 瑠璃もまた、二人の名前を叫んだのだが。

 椿達がそれに反応を見せる事はなく。

 その後に―――――

「行けるよ、オレが追おうか」

 右手で額の血をごしと拭いながら、そう言ったのが吊戯で。

「チッ・・・追うか!? 修平!!」

 金髪ポニーテールの男が、右手に持っていたほうの猟銃のようなモノを肩に担ぎながら、舌打ちを漏らしつつ、怒鳴るようにそう叫ぶと。

「追わなくて結構です。任務内容を移行します」

 ザッと此方に新たな人物がやって来て。

「・・・あっ・・・!?」

 それに気づき、先にそちらに目を向けた真昼が驚愕の声を漏らすと―――――

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マユ(プロフ) - 感想&応援メッセ下さって有難う御座います!こうしてコメントを頂けるのは本当に嬉しく励みになります!これからも頑張って書き進めていきます! (2020年11月28日 0時) (レス) id: 58c018d700 (このIDを非表示/違反報告)
らぶたん(プロフ) - 今回も面白かったです。これからも応援しています! (2020年11月27日 23時) (レス) id: 74fbd3ebea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年10月25日 13時

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