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第十八章『許すものと赦されざる存在』【1】 ページ22

「バカネズミ、俺の手彫りに文句あんのか」

 さらに立ち上がって此方にやって来たリヒトもその中に加わって、背後からドカとロウレスを蹴ると。

「痛い!!」

 悲鳴を上げたロウレスは、オレ何も言ってねーっス! とリヒトに対して抗議の声を上げたものの。主人との絆を取り戻し、兄とも和解した、今のロウレスの顔に浮かぶ表情は、偽りの仮面を被っていない本当の笑顔だった。

けれど―――――



「笑っていいはずがないのに」



 そんなロウレスの姿を、失意の眼差しで涙を零しながら見つめていた人物がいた。

 そしてその人物はロウレスに向かって突進すると、左手を首元にあったドッグタグに手を伸ばして、ブチッと勢いよく引き千切って奪ったのだ。

「え・・・・・・」

「ライラ!?」

 呆然と真昼が目を見開き、瑠璃が驚愕の面持ちになりながら、その人物の名を叫んだ。

「・・・許されるはずない。笑っていいはずがないんだ。お前はぼくの友達を殺したのに!」

 バッと此方側から一歩距離を取って後ろに下がったライラは、奪ったドッグタグを両手で握りしめながらロウレスに向かって怨嗟の言葉を口にした。

「あ・・・・・・」

 ライラの顔を目にしたロウレスは、椿の下位達が襲撃してきた日の出来事を思い出し、蒼白な面持ちになってしまう。

 ―――――・・・・・・あの時、あそこにいた椿の下位の中に、ライラの友達までいたなんて・・・・・・っ。

 そして愕然とした面持ちになった瑠璃も目を見開きながらライラを見つめると、

「これで・・・ぼくも彼らに顔向けできるかも・・・・・・」

「ま・・・待って! ライラ!」

 奪ったロウレスのドッグタグをライラは壊すつもりなのだ。

 ハッとなった瑠璃がそれを思い止まらせるべく声を張りあげると、

「ライラ! 話を・・・・・・」

 いまにもライラに飛び掛からんとしていた、強欲組をガッと前に出て制した真昼もまた、ライラに向かって叫ぶ。

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マユ(プロフ) - 感想&応援メッセ下さって有難う御座います!こうしてコメントを頂けるのは本当に嬉しく励みになります!これからも頑張って書き進めていきます! (2020年11月28日 0時) (レス) id: 58c018d700 (このIDを非表示/違反報告)
らぶたん(プロフ) - 今回も面白かったです。これからも応援しています! (2020年11月27日 23時) (レス) id: 74fbd3ebea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年10月25日 13時

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