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第十八章『許すものと赦されざる存在』【1】 ページ21

「それから・・・・・・瑠璃ちゃんも、さっきはありがとう・・・・・・っス」

 その後に、瑠璃の名前も呼んだうえで、手当てに対するお礼も述べてきたのだ。

「おう!」

「どういたしまして!」

 そこで真昼と瑠璃は満面の笑顔をロウレスに向けると。

「なあロウレス、俺たちにも教えてくれよ」

「そうね、名前! きっとしばらくは変わらないでしょう?」

 そう言われたロウレスは、不機嫌そうな面持ちで柱に凭れるようにしながら座っていたリヒトをチラリと一瞥すると、

「そ・・・・・・そーとは限らないっスよ! 天使ちゃんにムカつきすぎてつい殺しちゃうかもしれないしー。だーからお構いなく! オレのことは今までどーりロウレスちゃんて呼ん・・・」

 眉を顰めつつ、右手を掲げる仕草をしながら否定の言葉をロウレスは口にしかけたのだが。まず、リヒトが「あ?」とロウレスを睨み付けた処で。

「照れてんのかよ・・・めんどくせー」

「お前なーこのタイミングで言っとかないと」

「後で言いだすのはもっと恥ずかしいんじゃないかしら?」

 クロ、真昼、瑠璃が順に呆れたような面持ちでロウレスを見遣ると。

「うるせーっス!! なんなんスか!! 笑ってんじゃねーっス!!」

 ロウレスはそんなふうに喚き声を上げたものの。

「ハイドっスよ」

 拗ねたように、そっぽを向きながらも、首から下げていたドッグタグを右手の人差し指に引っかけて見えるようにした処で、リヒトから貰った『名前』を告げてきたのだ。

「素敵な名前ね。それじゃあ、改めてよろしくね、ハイド君」

 漸く教えて貰えた、その『名前』を瑠璃が呼び、ふわりと微笑むと。

「―――――・・・・・・っ!!」

 ロウレスは呆然と目を見開いた後、バッと視線を俯けていて。

 弟の心情を察したクロが微かに眉を顰めると、

「まさかの手彫り・・・」

 低い声で呟かれた兄の言葉にすぐさまロウレスは反応して、

「テキトーに鈴なんかもらった兄さんにとやかく言われたくねっス!」

 言い返してきたその言葉に今度は真昼が「適当じゃねぇよ!」と突っ込みを入れて。

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マユ(プロフ) - 感想&応援メッセ下さって有難う御座います!こうしてコメントを頂けるのは本当に嬉しく励みになります!これからも頑張って書き進めていきます! (2020年11月28日 0時) (レス) id: 58c018d700 (このIDを非表示/違反報告)
らぶたん(プロフ) - 今回も面白かったです。これからも応援しています! (2020年11月27日 23時) (レス) id: 74fbd3ebea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱臣繭子 | 作成日時:2020年10月25日 13時

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