検索窓
今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:131,840 hit

ページ36

あの後深町くんとびくびくしながらなんとか橋を渡りきって、酒井集落を俯瞰できるような場所まで到着した。目の前に見える富士山がとても綺麗。自然っていいな。


「お昼何食べます?ジビエとか?」
「ジビエって、先輩オシャレなもの食べてるんですね」
「お生憎様、食べたことないです」


吊り橋でだいぶこたえていたけれど、深町くんと軽口を叩きあえるくらいには回復した。瑠衣子先輩はうどんな気分らしい。まぁ正直私もジビエ食べたことないので口に合ううどんの方が好ましいかな。


お昼の話をしていたからなのか、ちょうどよくお腹がすいてきた頃に、ぞくりと、突き刺さるような【何か】を感じた。


一応辺りを確認したけれど、それが何だったのかはわからない。気のせい?それとも、ほんとに鬼がいたりする?…後者であってくれた方がありがたいけど。


村役場の山村さんが案内をしてくれた。どうやら、今回の依頼は上司からのものだったようで、わざわざ鬼の呪いなんて話題で、大学の准教授が来るとは思わなかったみたい。少し申し訳なさそうにしていた。


酒井村。鬼の首が祀られている、とかなんとか。調査に行くからと思って事前に色々と調べて見たのだけれど、人喰いだとか、鬼の呪いだとか、なにやら不穏な話題が尽きない。大丈夫なのか、この集落…。


おまけに、春夏秋冬の季節の分かれ目…、節分に毎回魔除け用の豆を北東の方角に吊るすのが伝統なんだとか。この集落に鬼が絡んでいることに、間違いはなさそうだ。


「あれ、ここの豆…」
「昨夜のことなのですが、何者かに豆が食い散らされたと報告があって…この家を含めて五軒、妙な足跡もあって」


見せられたのは大きな足跡。サイズ的に見て、成人男性のものだろうか?


「…大江山の足跡に似てる」
「おおえやま?」
「京都に大江山っていう山があって、昔に鬼…、酒呑童子が住んだっていう逸話が残されてるんだ。今みたいな、足跡が岩にくっきり残ってるの」


先生の講義で何度か聞いた、鬼に関する逸話。怪異って、都市伝説みたいなものから昔ながらの逸話まで扱うんだから意外と幅広い知識が必要になってくる気がする。


豆を好んで食べるような生き物、鳥とか?だとしたらどの民家の豆も食い荒らされているはず。あの足跡の説明がつかなさそうだし、恐らく鳥の犯行ではないと思う。むしろそうであって欲しい。…あんなに派手に荒らす鳥がいたら先生がきっと、というか確実に倒れてしまうだろうから。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (185 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
355人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年8月24日 20時) (レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます!(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream  
作成日時:2021年8月9日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。