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「深町くんって、かっこいいんだね」
「いきなりなんですか、先輩」


相変わらず可愛くない返事。こんな逸材、なんで周りの女の子たちがほっといたんだろうか。好きって気持ちに嘘はつけないはずだと思う。たぶん。


「あと先輩じゃなくてAでいいよ、堅いから。高槻先生に気に入られちゃってる以上、深町くんとは長い付き合いになりそうだし」
「じゃあ、A先輩?」


そうそう、と適当な相槌を打つ。…危ない、久しぶりに下の名前で呼ばれるとどきどきするね。ろくに恋愛もしてこなかったからなのか、中高生の恋愛よりも進めてない気がする。いやでも高槻先生には勝てないけど!


「深町くんの話も、聞かせて?」
「さっき全部見えてたって…」
「そうだけど!あれはあれ、これはこれ!私は深町くん自身の口から聞きたいの」


A先輩って変わってますよね、と笑われた。一般人からしたら私も君も変わり者では。というか高槻先生の研究室にいる面子は大抵変わり者だと思う。


コーヒーのおかわりが届いたところで、深町くんは語り始めた。


幼少期の頃、夜中にやっていた祭りに参加したところ、どうやらそれが死者の祭りだったようで。亡くなった祖父に引き止められて、代償としてべっこう飴を選んだところこの能力が備わっていたと。


幼少期に備わってしまったからなのか、嘘をついた人を指摘してしまったことが何度もあるらしく、どうやらのそのせいで友人が離れていってしまった。


中学生のころ、浮気していた父親が出張と称して母親に嘘をついたとき、思わず『嘘つき』と言ってしまったこと。そのせいで両親が深町くんの前で一切会話をしなくなってしまったこと。


普段イヤホンで音楽を聴いているのは音を遮断するためで、嘘をついているときの歪んだ音を継続して聞くのは気分が悪くなってしまうと言っていた。


嘘が聞き分けられる、そんな能力を持った耳を壊そうとさえ思ったけど、弱気になって結局今も付き合ってきていること。


やっぱり少し人と違うだけでこんなに辛い目にあうのって悲しいね。気づいたら目から涙がぽろぽろとこぼれていて。私、感情移入しやすい人なのかな。


「…そっか、話してくれてありがとう。」
「A先輩また泣いてる、」


笑いながらすっと親指で頬の涙を拭った深町くん。…深町くんって、こんな感じで育ってるの?どこでそんなの学んできてるの、少女漫画?

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ちくわ。(プロフ) - かふぇもかさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでお話をコンスタントにお届けすることが難しいのですが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします! (2021年8月24日 20時) (レス) id: eb81f6bdc7 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇもか(プロフ) - こんにちは^ - ^いつも楽しく読ませていただいてます!(?)このお話毎日読み返してニヤニヤしてます(( (2021年8月22日 18時) (レス) id: 586d3de0ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream  
作成日時:2021年8月9日 0時

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