素直に生きてりゃなんとかなる ページ24
結束バンドだかなんだかで手首を拘束されているのか、ぎりぎりと締め付けられるような手首の痛みで意識を取り戻す。
薄ぼんやりとした視界の中、一通りの流れを頭の中で整理。コンビニでお酒買った帰りに拉致られたんだっけか。
「私なんかを誘拐してどうするつもり?」
「あんたの連れのちっこい夜兎に用があんだよ」
ちっこい夜兎…、あぁ、神楽ちゃんのことか。また面倒な人たちが絡んできたな。チンピラ?ヤ○ザ?どっちでもいいや。
「前にうちの可愛い部下をぼっこぼこにしてくれたみたいだし。売られた喧嘩は買わないとってことで、仲よさそうなあんたを多少傷つけておびき出そうと思ってね」
卑怯な手口だな。逃げようと試みてもきつく拘束されてるみたいで、とてもではないが逃げ切れる自信はない。もう夜も遅いし、また神楽ちゃんに迷惑かける訳にはいかないし。
「そう、わかった。ただ私からもひとつ提案があるの。取引しましょう?」
条件を呑んでくれるわけがないのはわかっているけれど、もう半ばやけくそみたいなもんだ。こんな博打なんか打ちたくもなかったけど、仕方がない。
「私の全財産と、私財…ホテルの経営権をあなたたちに全て譲る代わりに、あの子に手は出さないで」
多少なりとも両親の遺産はあること、何店舗か売上の悪い店舗を土地ごと売り払えば数千万の利益はあることを説明する。
「おもしれぇ話だな…、あんたがこの後生きていられてたら呑んでやるよ」
やれ、と顎で指示を出し、玉座のようなものに座って傍観しだした。やっぱりダメか。
鞘から刀を抜く音に少し身構えているのが自分でもよくわかった。抜かれた白刃がほのかな光に反射しているのがやけに目に焼きつく。
カチリという刀を構える音と、斬り込みに行く姿勢に入ったのが見える。ようやく、私も危機感とやらを感じたみたいで。
「…銀さん」
なんでこういうときに限ってこの人の名前が口から溢れてしまうんだろうか。嫌でも自分の気持ちがわかってしまう。私も、死というものを実感したのか、涙が頬を伝った。そんなときだっただろうか。
バズーカを打ったかのような爆発音と、たくさんの照明が、後ろから見えた。
ヒーローも官房長官も遅れてくるんだから遅刻しても大丈夫→←飲みすぎた翌日の二日酔いのまま仕事行くのが一番辛い
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作者名:ぴ! | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2018年9月4日 0時