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目を離すとろくなことがない ページ16

「大変アルな、A姐も」
「本当だよ、店舗は運営停止、また引っ越さなきゃだし。でも、修理費は全額負担してくれるみたい」


痛手の出費がない事に安心しつつ、しみじみとご飯を噛み締める。まぁ本店が運営できないのは痛手であることに変わりはないけど。


「住むとこないならうちに来ればいいヨ、銀ちゃん、いいアルか?」
「あー、別に俺はいいけど、Aちゃんはどうなの?」


嫌ではない。ぶっちゃけラ○ホ暮らし向いてないってわかったし。迷惑でないのなら甘えさせてもらおう。


「迷惑でないのなら…、お世話になりたい、です」
「きゃっほー!そうと決まれば早速お引っ越しネ」


楽しみアル、と笑顔の神楽ちゃん。洋服とかパソコンとか必要最低限のものしかないけど。楽しみにしているならいいか。






「ここがいわゆる、ラブ〇アルか。かぶき町で1日遊んでホテルに連れこめばこっちのもんだって銀ちゃん言ってたネ」


純粋無垢な少女になんつーこと教えてるんだ、銀さんは。遊び人なのかなもしかして。少しもやっとした感情が芽生えた気がするような。


仕事関連の荷物が傷ひとつなく保管されていたことに一安心。しっかりと詰められた荷物も結構重さがあってしんどい。


ふんごぉぉと可愛らしい(?)唸り声も後ろから聞こえてくるが。後でちゃんとお礼しよう。


「ねぇ、神楽ちゃん?あれ、…神楽ちゃん?」


ついさっきまで後ろにいたのに。一体、どこにいってしまったんだろうか。狼狽えていると、物騒な音が裏の路地から聞こえてきた。


「私を誘拐しようだなんて、100万年早いネ、雑魚は出直してこいヨ」


よく見ると、怪しげな成人男性数名が神楽ちゃんによって倒されていた。神楽ちゃんになんてことしてんだコノヤロー。


「神楽ちゃん!ごめん、私が見てなかったばっかりに…」
「A姐は気にしなくていいアル、こいつらずっと私のこと狙ってきてるネ。いい加減にしろヨ」
「狙う?神楽ちゃんを?」


かぶき町はならず者が集まる町だと揶揄されてはいるけれども。10代前後の女子が誘拐されるだなんて話は聞いたことがない。


「私、夜兎だから地球人よりちょっぴ頑丈にできてるネ。戦闘部族とか言うけど、戦うのは好きじゃないアル」


夜兎…。本でしか読んだことがないその名前。よりによって神楽ちゃんだったとは。


神楽ちゃんも、荷物も奇跡的に無事で無傷のまま。良かった、と安堵したけれど、神楽ちゃんを守れなかった不甲斐なさがこみあげた。

お菓子作りは計量が命→←微睡んでるときが一番心地よい



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作者名:ぴ! | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream  
作成日時:2018年9月4日 0時

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