肆拾‐伍─side庵 ページ7
曖昧な笑みを浮かべる後輩は、何も答えることなく押し黙った。
庵歌姫から見た五条Aという人間は“よく分からない奴”だ。
どこぞの白髪野郎に比べれば全然可愛い後輩だ。少なくとも、コイツは自分に敬語を使うし、たまに自分をおちょくってくるのも親愛の裏返しであると理解できる。少なくとも、他人に嫌われる言動は決してしないタイプである。
一緒に学園生活を送ったのはわずか1年間だけ。その後も関わりがあったが、18歳の時に彼が高専を無理やり卒業した以来は連絡もなかった。
「私には貴方のことが分からないわ。貴方が何に悩み、何に苦しみ、何に追い詰められてるのか」
五条の跡取り。最強じゃない方の五条。フツーな方。弟に全部持ってかれた可哀想な奴。これが跡継ぎかよ。五条家も落ちたな。五条悟に継がせればいいのに。なんであいつが。
五条悟の方がずっと優秀なのに。
彼に向けられる周囲からの心無い言葉を高専時代庵は耳にしたことがある。馬鹿らしいと正直思った。他人の家のことをとやかく言う筋合いは私たちにはないはずなのに。でも、周囲の人間が黙っていられるほど五条家の存在は小さくなかった。
想像出来ないほどの重圧がまだ子供だった彼にのしかかっていた。
押し潰される、彼が壊れるのではないかと危惧した庵は彼に“休め”と言ったのだった。
あの時、彼は自分の目を潰そうとしてた。彼自身は本当にそれだけだったのかもしれない。自、殺をする気はなかったのだろう。
でも、あのまま放っておいたら彼はいつか自分で命を絶つ選択をすると庵は思った。だから、彼に違う世界を知って欲しかった。彼を傷つけない世界があることを。
「私は昔の貴方が苦しんでいた要因は周囲からの重圧だと勝手に思ってた。でも、それは違うのね。…違わないのかもしれないけど、根本的な要因はそこじゃない」
「間違ってはないですよ。…でも、そうですね。周囲からの重圧は多分言い訳なんです。俺が1番よく知ってるから」
「ねぇ先輩」と彼は私に問いかけた。
「俺とアイツは似てると思う？」
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チョコドーナツ(プロフ) - う……ようやく向き合えたんですね……(´；ω；｀)二人がどう接し合うのかすごく気になります！楽しみにしてます！ (12月27日 22時) (
レス) @page12 id: 915577a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました...泣きました…最高です (8月10日 1時) (レス) @page12 id: 4dcc3dce6a (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 面白かったです…!双子の兄弟が向き合えて良かったです…!!続き気になります!! (2022年9月28日 0時) (レス) @page12 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
凉月 - とても面白かったです‼できればでいいんですが後日譚や番外編が読みたいです…‼ (2022年7月11日 2時) (レス) id: e80a4daaf8 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ - ここでか・・・ここで終わるか・・・続き読みたいです！（無理はしないで下さい） (2022年7月4日 17時) (レス) @page12 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月
| 作成日時：2021年2月6日 19時
