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渡辺side





夜のミーティングを終えて、涼太のあとにお風呂に入った俺。
上がった頃には夜中の12時近くになっていて、
今からスキンケアだから寝るの遅くなっちゃうな〜なんて考えながら、タオルで髪をゴシゴシしていたら
突如2階からドタドタと騒がしい音が聞こえた。

急いで廊下に出ると、階段から落っこちてきた佐久間。
乱暴に降りたせいで足にいくつかかすり傷も出来てしまっているし、何より過呼吸を起こしていてパニックになっていた。




佐「 しょた…?はぁ、はあっ…はぁ、」




俺であることを確認するように、
何度も俺の顔を見上げて、何度も俺の名前を呼んで。

………一体何があったんだ。




『 佐久間〜?ゆっくり息しようね。俺の真似して、ふぅ〜 』




とにかく、今は佐久間を落ち着かせることが最優先。
佐久間の足音で起きたであろう他の子供たちは、きっと今頃涼太が寝かしつけてくれているはずだ。




『 ……どう?落ち着いた?』




中々大きな過呼吸だったけど、しばらくすると安定してきた。足に出来たかすり傷に絆創膏を貼ってあげたら、ありがとうってふにゃりと笑った。




『 ……何があったのか、話せる?』



疲れただろうから寝せてあげたいけど、不安を解消させないと怖い夢見ちゃうかもしれないから
ごめんね。申し訳ないけど、話を聞くことにする。




佐「 ……あのね、」
『 うんうん、ゆっくりでいいよ。』




佐久間は、少しずつ話してくれた。

自分が道路に飛び出して、お母さんを亡くしてしまったことの悔やみ。
お父さんを悲しませてしまったという自分を責める気持ち。
海に二人で行った日から、変貌してしまったお父さんへの恐怖。
お父さんから様々な暴力を受け、虐待を受けている時の痛み。
一人で雪花園に歩いてきた時の孤独。




『 そっか……話してくれて、ありがとね。』



……俺らが離れていくことの不安まで。



『 大丈夫。俺らはずっと佐久間の味方だからな。』




佐久間の過去のことは、今まで詳しくは知らなかった。
こんなにも苦しい思いをしてきたのに、
佐久間に優しく頭を撫でることしか出来ない自分を情けなく思った。

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ジュン18797 - 全部読みました!感情とかが細かく書かれていて読んでいて面白かったです! (8月3日 9時) (レス) id: 6ba9c2fcff (このIDを非表示/違反報告)
じゃにおた - 全部読ませていただきました!とても、面白く読んでいて世界に入りこまれました! (2023年1月31日 22時) (レス) @page27 id: 2be8c6eb2c (このIDを非表示/違反報告)
サト - 全然待ちます!新生活、大変ですね…頑張ってください!いくらでも待ってます! (2022年4月5日 13時) (レス) id: 8a6205e17c (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - サトさん» 御愛読いただき、ありがとうございます!リクエストですね!ぜひ書かせて頂きます!しかし、作者新生活が始まりバタバタしてて…リクエストの分を書くのは先になるかもしれませんがよろしくお願いします! (2022年4月5日 12時) (レス) id: d88059d669 (このIDを非表示/違反報告)
サト - こんにちは!全部読ませていただきました!本当に面白かったです!リクなんですが…翔太君か樹君の過去を書いていただけないでしょうか?無理だったら全然大丈夫です!無茶を言ってしまってすいません…これからも楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年4月2日 10時) (レス) id: 8a6205e17c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わらび餅 | 作成日時:2022年1月5日 21時

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