繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~【7】

＊ ページ4

佐久間side






舘｢ お名前教えてくれるかな？｣
『 ……ま、だぃ……け、』
舘｢ ん？もう一回いける？｣
『 …… 』
舘｢ …教えてくれてありがとう。じゃあ次ね、どこから来たの？｣
『 ……ぉ、ち。』
舘｢ おうちか。そうなんだね。｣




多分ちゃんと届いてはいないんだろうけど、舘さんはうんうんと聞いてくれた。
久しぶりに誰かとお話したような気がする。




舘｢ …ありがとう。たくさんお話して疲れちゃったね？じゃあ、少しここでゆっくりしててね。｣




いくつかの簡単な質問を終えると、部屋を出て少しの時間俺を一人にしてくれた。
俺の精神的負担を減らすためだ。
それと、きっとこの時間に俺や俺の家族の情報を調べてくれてたんだと思う。




『 …… 』




後になって考えれば、質問タイムの時舘さんは1度も
身体の傷について聞いてこなかった。
普通だったら1番に目が止まるであろうに。
舘さんの安心感は、こういう所にあるんだと思う。







ｶﾞﾁｬ＿＿＿＿＿＿



ある程度時間が経ったら、俺のいる部屋へ舘さんが戻ってきた。




舘｢ 佐久間、こっちに来なさい。｣




あれ…？
俺の記憶では、このあと舘さんに冷たいジュースをもらって、そして雪花園別館で暮らすことが決まって……




舘｢ ……来なさい。｣




先程までとは違う、低くて怖い声。
呼ばれても動き出さない俺にぐんぐんと近づいてきた。

無理やり手を繋がれて、ある部屋に入らされる。

ここは見覚えがある。俺のお父さんの部屋…？




……知らない、俺こんなの知らない！

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