廉の連行 ページ5
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永瀬side
仕事終わりに事務所に寄る用事があって
その用事を済ませてから
夜ご飯どうしよーなんて考えて歩いていると
ここで聞こえるはずのない声が遠くで聞こえた。
その声の元へ足を進めれば、華奢な後ろ姿。
あいつ、また痩せたんちゃうか？
携帯に向かってしゃべってるから
誰かと電話しとるんかな？
ていうかスピーカーやし。
背後からその様子をじっと眺める。
A「飛貴ー、今日の夜ご飯いこー」
電話の相手は浮所か。
なんで俺やなくて浮所誘うん、まじで。
頼む、浮所断れ。断ってくれ。
なんて大人気ない俺の思いが届いたんかわからんけど
浮所『うわ、ごめん！今日無理だわ！』
A「えー、なんで今日に限ってあかんのよ」
Aさん、浮所に振られました。
浮所『今日家族ですき焼きなんだもん』
おい、家族ですき焼きやと？
その理由じゃこいつ押し切るで？
強行突破するで？
浮所『だからほんとごめん！』
A「･･･それならしゃーないな」
え、ちょ、優しいなこの子！
健気やん！
A「ま、もうしばらく飛貴のことは誘わんけど』
前言撤回。
この子ちょー鬼やわ。
｢え、まって、ちょっ･･･｣ って、
電話越しに焦ってる浮所を無視して
電話を切ったA。
うん、やっぱり鬼。
そんな鬼も振られたのはやっぱりショックなようで
ちょっぴり俯きがち。
永瀬「飯行くで」
A「は！？え、ちょっ･･･！」
後ろから肩を回して顔を近づければ
当然びっくりしている。
永瀬「行くん？行かん？どっち？」
至近距離で見つめるとバチっ、と、目が合って
すぐに逸らされる。
A「･･･行く、」
永瀬「ん、じゃー行こ」
相変わらずツンデレなAの手を掬いとって
そのまま繋いで歩き出せば
ぶーぶー文句を言いながらも握り返してくれた。
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作者名：まる。 | 作成日時：2020年5月10日 23時
