今日も継子が泣き止まない【煉獄杏寿郎】

4 ページ5

「あまり弟をからかってくれるなよ？」
「どっひゃっ！？」


気配がなかったのですが、いつからそこに居たのでしょうか？あまりの恐怖に首が機械のような音を立てて後ろを振り向いた気がする。


心無しか額に怒りが浮かんでいる気がするのですが…口角の上がりきった笑顔と真逆の声色の気がするのですが？


「し、しは、師範」
「…………冗談を言う元気があるなら素振りを500追加するが？」
「滅相もございません。師範の弟君に手を出すなんて」


あは、あははは〜〜〜と冷や汗溢れ出しながら笑顔を向けて、師範の顔をチラっと除くと師範も負けず劣らずの笑顔で「早く素振りしてこい」という表情を浮かべていた。


「ぴ、ご、ごめんなさいぃ、素振りしてきます…！」


素振り500回＜師範の有無を言わさない笑顔なので、その場から光の速さで立ち去る。その後の会話は怖くて聞けないし、横目で見た千寿郎くんの私を見て哀れな表情を浮かべていたのは忘れないだろう。


__________
____


流石、嫌がりながらも兄上が掴んで離さない弟子なだけあって、Aさんの反射神経はド肝を抜くもである。


目にも止まらぬ速さでかけて行く、泣き虫で少し鈍い彼女に思わず哀れみの顔を浮かべてしまった。


「兄上、大人なんですからそんなわかりやすい嫉妬をしないでください」
「む？嫉妬なんてしてないが？」


無自覚な兄上も兄上だと思うのですが、それにしても兄上の機嫌で日々修行が重くなっていく彼女が可哀想な気もする。


「そんなに意地悪したらAさんがまた泣いてしまうではないですか」
「双葉はそんなことではへこたれない！双葉は俺の弟子だからな！……それに」


「双葉の涙は俺が全部拭ってやる」


…………弟子と言うにはあまりにも過保護で過剰な気がするのですよ、兄上？

5→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す