今日も継子が泣き止まない【煉獄杏寿郎】

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「千寿郎くぅぅん……」
「あ、Aさん、どうされました？」


今日も今日とて師範の稽古が厳しい。


大体鬼ごっこ状態になっているのだが、途中で台所からいい香りがしてそっと除くと、千寿郎くんが煮えている鍋を覗いているのが見えた。


後ろから抱きつくと、いつも「うわっ！」と控えめに驚いてから「どうされましたか？また兄上と鬼ごっこですか？」とくすりと笑いながら問いかけてくれる。


以前に師範に見せてもらった母親の表情に似ている。


「聞いてよぉ、兄上が毎日毎日厳しいんだよぉ……」
「きっと、兄上はAさんが大切なんですよ」
「大切だったらもう少し優しく扱うよ？」


めそめそと泣く私を私の腕の中にすっぽりと収まるくらい小さな千寿郎の手がゆっくりと頭に乗せられる。


「そんなに泣かないで下さい」
「私、千寿郎くんと結婚しようかな」
「ぇ！？」


千寿郎くんの可愛い顔がぽぽぽっと音がなるように赤く染る、何だこの子は、あのわっしょいよもや師範と本当に血の繋がった弟なのだろうか。

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