小悪魔が十五匹 ページ17
「ゲーム。21-19、10-21、21-18。波瑠川東高校山崎さん」
審判のよく通る声に対して、「嘘でしょ」「どうしたの？」とざわめく部員達。
彼女達の元に戻れば、さっきまで口をあんぐり開けたままだった監督が慌てた様子でまくし立てた。
「ひ、柊木！！？？どうしたんだお前！！練習試合だからまだ良かったものの……東高の山崎なんて格下も格下だろ」
相手校に気を遣って最後になるに連れて段々と声が小さくなっていく監督に、いつも格下だと侮るなと口酸っぱく言ってる癖にそういう事言っちゃうんだ、とぼんやり思いながら「すみません」とだけ返した。
試合相手の成美ちゃんと目が合うと、気まずそうに逸らされる。
……失礼な事しちゃったな、わざとやった訳じゃないんだけど。
「……いやぁにしてもマジでびっくりしたわ……」
帰り道、萌夢がそう言って私を小突く。
……私も自分でびっくりしてる。
「私Aが練習試合で負けんの初めて見た」
「そりゃ負けたことないもん……」
「最近部活中も割とぼーっとしてたしね」
少しの自覚はあったけど、他の子から言われるくらいだったとは、と反省する。
「ほんとごめん……」
「いやいや！ってかほんと、大丈夫なの？」
「至って健康ではあるんだけどね……」
私のせいでうちの負けが決まったのに、チームメイトは特に私を責めることはせず、むしろみんな、心配してくれてるみたいだった。
私も私が心配。
この歳にもなって恋煩いとか本当に痛すぎる。
……恋煩い、とは少し違うか。
翔陽くんへの想いを認めて向き合おうと決めたけど、ちょっとまだこの感情との付き合い方がわからなくて混乱してる。
……もしかしなくても、私、これが初恋ってことになるのかな。
ぽわぽわした頭のまま、他人事のように思う。
「あ、うちらこっち」
「だよね。じゃあまた明日かな？」
「うん。ばいばい」
他の子達に手を振って、家がわりと近い萌夢と二人、また歩き出す。
ひとつめの角を曲がったところで、萌夢が口を開いた。
「……あのさ」
「んー？」
「……A、日向の事好きでしょ」
「えっ」
……えっ？
……今この子何て言った？？？
「あやっぱり？」
「えっえっえっあの……えっちょっと待ってなんで？？？？」
「んははは！！！Aがそんな焦ってんの初めて見たわ」
萌夢はその小さな口を大きく開いて笑う。
「落ち着きな〜」と背中をばしばしと叩かれてるけど、落ち着ける訳が無かった。
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美園(プロフ) - やばい夢主ちゃん好きすぎる…可愛すぎる…日向とうまくいってくれ (2月27日 10時) (
レス) @page24 id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - 主人公と日向くんの絡みが最高です！！これからも更新頑張って下さい！！ (5月10日 15時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - え、むりおもしろすぎる続きがちでみたい (2023年1月7日 20時) (レス) @page24 id: 6539e90d25 (このIDを非表示/違反報告)
ムー - 小悪魔な少女が無邪気な彼に片思いして振り回されてるの、とても新しくてワクワクします！うまくアピールできなくて少しそっけなかったり、それでもどうやって好きになってもらうか一生懸命なのは、恋する乙女同然ですね！これから二人はどうなっていくのか楽しみです！ (2022年10月5日 19時) (レス) @page24 id: 812daaa6d6 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 羽珪藻さん» 毎回悪戦苦闘しながら話を考えているので、そう言って頂けてありがたいです……（ ; ; ）これからもお暇な時に覗きに来ていただけると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2022年8月8日 13時) (レス) id: 3a603e5b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水団子 | 作成日時：2015年10月30日 21時
