第八話 リト ページ9
僕は遠くの雲を見た。
そして右手の人差し指を向けて、狙いを定めて──
──パァン!!
破壊、というより霧散させた。
「あー!!ひまひまひまひまひまひまひま────!!!!」
そうだ、暇だ!馬鹿みたいに暇だ!
僕は遥か昔、発明された神々の兵器。
あの『戦い』だって経験して、そこそこ楽しんで過ごした。
なのに!なのに!
戦争は決着がつかず、挙句の果てに世界までバラバラにしやがった。
「くっそー、イタズラすら出来ないじゃないか!」
理由なんてこんなもんだ。皆もそうだろう?
ひまでひまでひまでひまでひまで腹が立って、そこらじゅうの雲をパァン!!パァン!!と霧散して回っていた時。
「わぷっ!なんだ?」
急に目の前が暗くなり、その原因を顔から剥がすと、それはどこからか飛んできたチラシのようだった。
「ふむ、なになに……?我が世界、最高にファンタジー企画:メンバー募集中!私達は共に散らばった世界を繋ぐ仲間を探しています!!だって……?」
僕は紙面の文字に驚愕、そして……
「ぶっ……ははははははは!ぶっひゃひゃひゃひゃひゃ!!ひー!馬鹿らし!あほらし!そしてネーミングセンスが酷い!!ぎゃははは!!」
腹を抱えて大爆笑。地面──もとい天空島に転げた。
『なーにを笑っておる。こっちは本気だぞ』
声が聞こえてチラシを見ると、魔法陣が浮かんで声が発されていた。
遠隔系の魔術か。てかそれより……
「ねぇ、アリア?」
その声には聞き覚えがあった。
『リトか。面倒くさい奴が拾ったもんだ』
「へぇ、100年とちょっとぶりだね。何してたのさ」
『お前と違って働いていたのだ。それより、汝はこれに参加したいのか?』
んー、と唇に指を当てて僕は考えた。
「じゃ、参加してあげる」
というと、魔法陣の向こうから面倒くさそうな嘆息混じりの声が聞こえてきた。
『ふぅ、ではさっさと魔法陣に入るがよい。汝のことだ、この魔法陣の本質は分かっておろう』
実力を把握されていた。アリアは本当に恐ろしい、と僕は笑う。
「はいよっと」
僕は巨大化した魔法陣の中に飛び込んだ。
眩しさの中、僕が見たのは──
──黒髪の少女、アリアが面倒くさそうに頭をかきながらこちらを横目で見ていた風景だった。
「ようこそ、我が世界、最高にファンタジー企画本部へ……」
嘆息は要らないだろ、失礼な。
と、僕は笑った。
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夕暮れの紅猫(プロフ) - 浅葱_なずさん» 一応、続きがありますよ! (2017年9月5日 1時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱_なず(プロフ) - 凍結でつか(*゚▽゚) (2017年9月4日 22時) (レス) id: 638a6231c6 (このIDを非表示/違反報告)
夕暮れの紅猫(プロフ) - 欺瞞と悪戯の神・ロキさん» ありがとう! (2017年7月22日 17時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
欺瞞と悪戯の神・ロキ - 遅くなりました!直したよ! (2017年7月22日 16時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
欺瞞と悪戯の神・ロキ - 夕暮れの紅猫さん» わかった!何とかしてそれにする!僕の事はためでいいよ! (2017年7月21日 22時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ステラどるちぇ x他14人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月28日 20時