検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:15,748 hit

第四十五話 ラファエル ページ46

「あの野郎どこ行きおってからに……」

そんな独り言をブツブツ呟きながら、私はもうすっかり日が暮れた街をぐるぐる歩きまわってる。
こんな暗い時間に女子が外に出歩くのは少々危険だろうが、致し方ない。
なにせ非常事態だ、非常事態。

……まぁ、他人からすればそこまで重大でもないんだろうが。

隣人が昨日から帰って来てないのだ。
酒場にもいない、泥酔して道端で寝ている訳でもない、亜人の国に行った訳でもない。

ならば、何をしているのか。

盗賊稼業を手伝っていた結果捕まったか?
人助けの結果、面倒事に巻き込まれたか?
それとも、足を滑らせ肥溜にでも落ちたか……

色々な可能性が浮かんでは消えていく。

わざわざこんなに心配してやってるんだ、早くでてこい。
出てこないとぶっ殺すぞ。

……だがしかし、いくら出てこいと言ったところで本人がそれを聞いてないんじゃ意味がない。

はぁぁ、とでっかい溜息を一つ吐き、フードを目深に被り直す。
そして、ゆっくり歩き出したその矢先……


足元でなにかを思い切り踏んづける。

「え、なに、紙?」

取り敢えずガムとかじゃなくて良かった、とか色々考えながら拾う。

さすがに踏まれまくってぐっちゃぐちゃだったが、見つけたからには元の場所に戻さなきゃ。
すぐそばにあった壁に貼り直し、さて、どこに向かおうか。


「汝、この企画に参加したい者か?」


ゑ?


「Setzen Sie die Barriere!」

咄嗟に杖を突きつけ呪文を唱える。

あ、今気付いた。


魔 法 で 探 せ ば い い じゃ な い


自分のアホさに落ち込んでいると、また声が。

「なに、そう警戒するな」

本当に?

「……Entsperren」

解除はしたがまだ警戒だ。 目の前の紙をきっ と睨む。

「はぁ、最近の若いのはすぐキレる。もっと優しくなれんのか……」

なんだこいつ。

「……まあいい、もう一度問おう。汝、この企画に参加したい者か?」

いや、いやいやいや!
いくらなんでも怪しすぎるだろ。

この紙燃やそうか。 それとも元凶を断とうか。
そうかそうか。
もう、今のあたしは漆黒の魔導師ラファだ。 やったるわ。

「ああ、参加しますよ」

にっこり嗤って手を伸ばす。

Erhöhen Sie die Geschwindigkeit

そう口の中で呟きながら。

第四十六話 ピロ・ラッキーハッピー→←第四十四話 サラシティ・シーザー



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
設定タグ:募集企画 , ファンタジー , 小説版   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夕暮れの紅猫(プロフ) - 浅葱_なずさん» 一応、続きがありますよ! (2017年9月5日 1時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱_なず(プロフ) - 凍結でつか(*゚▽゚) (2017年9月4日 22時) (レス) id: 638a6231c6 (このIDを非表示/違反報告)
夕暮れの紅猫(プロフ) - 欺瞞と悪戯の神・ロキさん» ありがとう! (2017年7月22日 17時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
欺瞞と悪戯の神・ロキ - 遅くなりました!直したよ! (2017年7月22日 16時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
欺瞞と悪戯の神・ロキ - 夕暮れの紅猫さん» わかった!何とかしてそれにする!僕の事はためでいいよ! (2017年7月21日 22時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ステラどるちぇ x他14人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月28日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。