Side story ~Visit to the grave~ ページ28
「ななちゃーん！早く早く！」
「そんな走ったらこけるぞ！」
七海は少し先を走るAに声をかけた。
「あーほら、走りすぎて花びら散ってんじゃねぇかおてんば娘〜」
「へへ」
Aの手には少し大きめの花束。
「だって、7年ぶりだもん」
「そんな急がなくても先輩たちは逃げも隠れもしねぇよ」
「まあお墓だし。骨は地中に隠されてるけどね」
冥王星との決着がついてから少し経った頃。
Aは少しずつ両親の死を受け入れ、自分の中で消化できるようになってきていた。
両親の死をダイレクトに感じてしまう墓参りも、事件から7年経ってようやく今日来れたのだ。
「………やっぱり、まだちょっと怖いかも」
Aは両親の墓まであと一歩、というところで立ち止まる。
テンション高いのはやっぱ空元気だったか、と七海は笑みを溢す。
「手ぇつないでやろうか、小さい時みたいに」
「いやいらん」
天草くんが怒るから、といってAは意を決したように墓の前に立った。
そうか、もう彼氏ができる年ごろか、なんて七海は感慨にふけりながらその様子を見守った。
墓を丁寧に掃除し、花束を生け、線香をつけてゆっくりとAは手を合わせた。
お父さんお母さん、遅くなって、心配かけてごめんなさい。
お久しぶりです、Aです。
私は今、心から信じあえる仲間とともに、DDSで探偵見習いとして日々悪と戦っています。
先日、ついに冥王星を倒すことができて。
2人が救おうとしていた棲龍館ホテルの小さな男の子も、ちゃんと救えたからね。
…ちなみに、今、彼も一緒にDDSで学んでいて、ついこの間、彼氏になりました。
強い突風が吹き、Aの小さな体を煽る。
…お父さん、怒ったの？
私の事ずっと守ってくれたし、道を踏み外しそうなとき連れ戻してくれた、頼れる人だよ。
今度は彼と一緒に来るね。そんな心配しないで。
じゃあ、また。
「おっけ、帰ろななちゃん」
「ん、もういいのか？ちょっと待て、俺も挨拶するから」
「彼氏できたって言ったらね、お父さん怒ってた」
「あ〜お前生まれた時から嫁には行かせないって、ずっと言ってたからな」
ふは、お父さん気早すぎ。なんてAは笑う。
帰ろうか、と踵を返すと、そよ風が頬を撫でる。
それがなんだか両親からのエールな気がして、Aは顔を綻ばせて頬に手を添えたのであった。
Side story ~Be teased~→←Side story ~Argue~
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ツキツキ - 癒璃華さん» 癒璃華様、心のこもったお返事本当にありがとうございます。作品に軸を通す…そうなってます素晴らしいエンディングでした！ また彼らと会えるよう願って、では笑顔で締めたい――つんでれメイドのユウリと一緒に手でハート作ってチェキ撮りたいです！！！ (2021年2月28日 23時) (
レス) id: f33cc7d4d3 (このIDを非表示/違反報告)
癒璃華(プロフ) - ツキツキさん» 誕生日あんまり関係ない感じにはなってしまいましたが…笑 楽しんで頂けたなら何よりです。シリーズ最初の、♯0と最後の♯11のラストを合わせる事で、物語に軸を通せるかな、と盛り込んでみました。私もツキツキさんも、また彼らと会えるよう願っております (2021年2月28日 21時) (レス) id: f0003aed0e (このIDを非表示/違反報告)
癒璃華(プロフ) - 瀧さん» 二次創作と言うからには、原作の雰囲気を壊してはいけない、とドラマをとても大切にしながら書いていたので、そう言って頂けると嬉しいです。読んでくださってありがとうございました！ (2021年2月28日 20時) (レス) id: f0003aed0e (このIDを非表示/違反報告)
ツキツキ - (続き)ラスト『空に掲げた(割愛)』くだり胸に沁みて。癒璃華様が流、夢主ちゃんQクラス探Qの物語自体を心底愛し大切にしていらっしゃるのが嬉しくて、そしてその溢れる愛情を感じられるこの小説を読めて本当に幸せです！気が向かれましたらまた彼らを書いてください。 (2021年2月28日 17時) (レス) id: 6b0a8b5fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ツキツキ - 癒璃華さん» 全て無事完結しましたね、おめでとうございます！！これ程に素晴らしい小説を書き上げ私たち読者に届けて頂き改めて感謝で胸が一杯…更にあぁあ流誕パーティーのリクお応え頂き感激で震えてます、ありがとうございます、よかったね流！サイドストーリーたくさん(感涙)続 (2021年2月28日 17時) (レス) id: 6b0a8b5fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：癒璃華 | 作成日時：2021年2月17日 19時
