episode11 ページ11
流は究に向き直った。
視線に気づいた究も流に向き直る。
究の顔は、無表情ながらも優し気だった。
「おじい様。貴方の負けです。どうか罪を認めてください」
やはり家族の情があるのだろう。
流は珍しく、悲しげに懇願した。
キングハデスは何も答えず、無言で部屋の隅の椅子に腰かけ振り向く。
「流。お前は私に罪を擦り付けるつもりか？」
都合が悪くなったら実の孫でさえも自らの生贄とするその態度。
流は驚きを隠せず、Aはキングハデスを睨みつけた。
「キングハデス。残念ですが、貴方の仕掛けたトリックは、もう解けました。今まで僕たちは、貴方の計画にやられっぱなしでした。でもここからは、Qクラス反撃開始です！」
究は少しずつ前に出る。
「流が容疑者となった理由は、最初の事件で雨洞さんが殺されたとき、この部屋の蛙の扉がシャンパンタワーで封鎖されていたからだ。唯一の入り口と思われていた巻貝の扉から、この部屋に入ったのは、廊下の防犯カメラの映像を見る限り、被害者の雨洞さんと、流だけだった」
「でも、不安定なシャンパンタワーでふさがれていた蛙の扉からでも、出入りができる方法、実はあったんだよね」
究の言葉を引き継ぎ、Aは不敵に微笑みながら究の隣に並ぶ。
「いったん強引に侵入し、割れたグラスを回収する。そして、外からグラスを持ち込み、改めてシャンパンタワーを作る」
「では外に出るときはどうする」
「扉のわずかな隙間から、ワイヤーでテーブルごと引き寄せたんです」
「そんなことをすれば、グラスが崩れるだろ」
「ま、普通そうよね〜。だから、グラスは固めてあった……液体窒素でね？…液体窒素は、ごく低温の液体。シャンパンと一緒に注げば、凍り付いて氷の塊になるってわけ」
「真犯人はこうしてシャンパンタワーを引き寄せたんです。密室を作り上げ、雨洞さんを殺害したんだ。事件当時、床にこぼれていたシャンパンは、液体窒素で凍りついたのが溶けたものだった。そして、僕がこのトリックに気づいたのは、回収し損ねたガラスの破片を、この部屋で見つけたとき。つまり、キングハデス。貴方に閉じ込められたおかげです」
究はキングハデスを真っすぐに見据え、そう言い放った。
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ツキツキ - 癒璃華さん» 癒璃華様、心のこもったお返事本当にありがとうございます。作品に軸を通す…そうなってます素晴らしいエンディングでした！ また彼らと会えるよう願って、では笑顔で締めたい――つんでれメイドのユウリと一緒に手でハート作ってチェキ撮りたいです！！！ (2021年2月28日 23時) (
レス) id: f33cc7d4d3 (このIDを非表示/違反報告)
癒璃華(プロフ) - ツキツキさん» 誕生日あんまり関係ない感じにはなってしまいましたが…笑 楽しんで頂けたなら何よりです。シリーズ最初の、♯0と最後の♯11のラストを合わせる事で、物語に軸を通せるかな、と盛り込んでみました。私もツキツキさんも、また彼らと会えるよう願っております (2021年2月28日 21時) (レス) id: f0003aed0e (このIDを非表示/違反報告)
癒璃華(プロフ) - 瀧さん» 二次創作と言うからには、原作の雰囲気を壊してはいけない、とドラマをとても大切にしながら書いていたので、そう言って頂けると嬉しいです。読んでくださってありがとうございました！ (2021年2月28日 20時) (レス) id: f0003aed0e (このIDを非表示/違反報告)
ツキツキ - (続き)ラスト『空に掲げた(割愛)』くだり胸に沁みて。癒璃華様が流、夢主ちゃんQクラス探Qの物語自体を心底愛し大切にしていらっしゃるのが嬉しくて、そしてその溢れる愛情を感じられるこの小説を読めて本当に幸せです！気が向かれましたらまた彼らを書いてください。 (2021年2月28日 17時) (レス) id: 6b0a8b5fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ツキツキ - 癒璃華さん» 全て無事完結しましたね、おめでとうございます！！これ程に素晴らしい小説を書き上げ私たち読者に届けて頂き改めて感謝で胸が一杯…更にあぁあ流誕パーティーのリクお応え頂き感激で震えてます、ありがとうございます、よかったね流！サイドストーリーたくさん(感涙)続 (2021年2月28日 17時) (レス) id: 6b0a8b5fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：癒璃華 | 作成日時：2021年2月17日 19時
