13錠目『酒は呑んでも呑まれても、呑め』 ページ12
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検査は必要そう? というAの問いに水神矢は目を閉じて考え込む。
全女性を敵に回すような彼の長い睫毛や目元にも疲労という感情が見え隠れしている。
｢…俺の自慢の上司に、診てもらうか｣
｢...!! それって、｣
心情を察し、彼は得意げに返事をした。
｢あー!! 腹減った!! A、何か作ってくれよ〜｣
そのつもりだったんだけど、と立ち上がるAに倣って折緒もキッチンへ立つ。
さり気ないその動作に、水神矢は携帯を操作する手を不覚にも止めた。
｢わ、冷蔵庫には何もないのに調味料だけは立派に揃ってる……｣
｢最初は自炊しようとして形は揃えたけど、挫折したパターンだな｣
｢あはは、なにそれ｣
｢経験者の俺が語るんだから間違いねえよ……ま、今はプロトレーナーですからあ? ちゃんと? 食生活も自分自身で管理していますけれども｣
自分の発言に、照れ隠しするように大袈裟に言葉を直した折緒。
買ってきた食材を並べ直し調味料を一瞥したのち、Aは脳内で献立を確立させたようで何度か頷いた。
｢何作るか決まったのか?｣
｢うん、大体｣
｢…こ〜れでまた俺は、お前に胃袋つかまれるってワケか｣
｢今日のディナーを食べたら、逃げられないかもしれないよ?…ふふ、なんてね｣
｢もう10年前から逃げられねえよ｣という切ない声は、音を立てて作業し始めた彼女には届かなかった。
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｢おッ、オムライス!!｣
子供のように目を輝かせる折緒の言葉通り、テーブルには4人分のオムライスにサラダ、スープが並んでいた。
｢全て拘ってる、流石Aだな｣
｢水神矢、照れるからお世辞はやめて｣
佐曽塚の様子見てくる、と頬を染めながら立ち上がるAに、二人は口元を綻ばせた。
｢酒、酒〜ッ♪...あっ、デザートにティラミス?! マスカルポーネチーズ買わせたのってそういうことか!!.....水神矢も飲むか?｣
｢いや、俺は車だからな｣
あーそうか、と冷蔵庫の扉を閉めた折緒は自分のお猪口を用意しAの戻りを待つ。
｢...遅せぇな｣
｢Aは優しいから、起こすのを躊躇っているんだろうな｣
そう解釈する水神矢の言葉を横目に、折緒は肩肘をつきながら結露の付いてきた瓶を撫でた。
ドアが開き、ようやくAが戻ってきた。
後ろには覚束無い足取りで佐曽塚が彼女に手を引かれながら歩いてくる。
｢あ、食べててよかったのに。待っててくれんだ｣
まだ冷めてないから大丈夫だね、と安心する彼女の隣に佐曽塚は腰を下ろした。
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14錠目:『君の心に俺は居ますか』→←12錠目:『記憶は厭にも補正が掛かる相場』
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
