28話 ページ28
「ただいま〜」
「うん、おかえ‥‥っ」
振り返った時の彼女の姿に一瞬呼吸が止まる。
濡れた髪の毛に火照った頬、パジャマはワンピースタイプなんだけど生地が薄手で体のラインが分かるような分からないような‥‥。
もう、もうとにかく凄かった。
お風呂上がりの女の子の威力を舐めてたかもしれない。
そんなこと考えてるなんて露ほども思っていないAちゃんはラグマットに座り込んでた俺の隣に座って「何見てたの？」と声をかけてきた。
「え、っと‥‥‥なに‥‥‥なに？」
「ふふ、なにって。テレビ見てたんじゃないの？」
Aちゃんが戻ってくると思って咄嗟にテレビをつけたけど内容なんて全く見てない。
てかそれどころじゃないんですけど‥‥‥！
「あーなんか眠くなってきたかも！早めに寝ようかなー」
「え〜早い早い！もうちょっと起きてようよ‥‥あ、わかった」
「な、なに？」
「ベッド行ってそっちでお話ししよう！それならまだ良いよね？」
なにがまだ良いのか分からないけどとりあえず今の状況を脱せるならなんでも良い！
そう思って全力で頷いてAちゃんの部屋に向かった。
「どうぞ‥‥‥そんな綺麗じゃないけど」
「お邪魔しま〜す‥‥‥すっごい綺麗じゃん」
初めて入ったAちゃんの部屋は木目調の家具と白色がメインの落ち着いた部屋でそこまで女の子っぽい感じもなくてちょっと安心する。
でもふんわりとシャンプーやリンスでもない良い匂いがしてそこは女の子なんだな、なんてやっぱりドキドキ。
「じゃあどうぞ！」
「‥‥‥ん？」
「私敷布団で寝るから舞子ちゃんベッドに」
「ちょっ、なに言ってんの！！Aちゃんがベッドで寝て‥‥‥！？」
「え、いいの？」
「いいの、っていうか普通そうだよ‥‥？」
「えへ、そっかぁ。じゃあお言葉に甘えて」
「どんだけ友達来てないんだよ〜もう」
「はは！友達とお泊まりとかも初めてだからさ、こういうの慣れてなくて。私はしゃぎすぎかな？ごめんね？」
「ううん！逆に良かったの？初お泊まりもらっちゃって」
少しふざけて聞いてみたけどAちゃんは一層笑顔を輝かせて俺に言った。
「うん‥‥！舞子ちゃんが良かったの。舞子ちゃんと出会ってから毎日本当に楽しくて‥‥あの時あのショッピングモールに行って本当に良かったって毎日思ってるんだよ」
「‥‥‥何それ〜！！！照れる〜！！！」
胸がギューとなってちょっと苦しい。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年11月6日 13時
