1話 ページ1
最悪だ。
親、友達、親戚etc
俺のことを知っている人間に見られたら今すぐ舌を噛み切って死んでやる。
そんな絶望の中俺は駅前に1人立っていた。
‥‥‥足元がスースーして気持ち悪い。
時は遡ること2時間前。
終業式が終わって明日から夏休み！
開放感に浸る中すぐに家に帰るのもなんか寂しくて、数少ない友達と放課後教室に残って駄弁っていた。
「なあなあ、次は罰ゲームありきでやろうぜ」
トランプを切りながらそう言ったのは親友、悪友？のしょっぴー。こと渡辺翔太。
「そういうの大体言い出しっぺが負けんだよなぁ」
目尻を垂らして笑うのはもつもつくん。いや岩本照。
「えー！！何にする？？全裸で外周かー全裸で職員室突撃かー全裸で」
なぜか楽しそうに罰ゲームを考えるのは変態、いや向井康二。
去年は4人で同じクラスだったんだけど2年に上がると文系のしょっぴー、康二くんと理系の俺、岩本くんで見事に分かれてしまった。
それでも昼休みは一緒に食べたり時々遊んだりもしてるからそこまで関係性は変わってなくて。
人見知りが激しい俺にとってこの3人は唯一と言っていいくらい大事な友達だ。
「じゃあさ、負けた奴が女装するってのはどう？」
しょっぴーが悪戯な顔でそう提案する。
意外といちばん嫌な顔をしたのは康二くんだった。
「まっっっじで嫌や！！！！！俺骨っぽいから似合わんしもも毛まじで濃いねん」
嫌がるポイントそこ？似合えば別にいいんだ。
康二くんの必死の抵抗に爆笑するしょっぴーと岩本くん。あーあーこの流れは決まったな‥‥。
「康二くんダメだよ。そんな嫌がられてもフリにしか見えない」
「ラウ！フリちゃうって。俺の目見て。俺の長所嘘つけへんところやから」
「‥‥‥目ヤニついてるよ」
「どこ見てんねん！！！！！」
そのあと罰ゲームの件が異様に盛り上がってしまって
【女装して駅前でナンパされるまで待つ】
なんて色々厄介な要素が盛り込まれてしまった。
これはキツい。キツすぎる。
さすがの内容に俺らも最高潮の盛り上がりを見せて、ここに今絶対に負けられない戦いの火蓋が切って落とされた。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年11月6日 13時
