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「愉快、愉快。嗚呼、そうじゃな。愉快な奴は好ましいとも。ひひ、儂は今気分が良い。何か恵んでやろうか? 嗚呼其れとも、儂に囲われる栄誉でもやろうかの? ……何じゃ、厭なのか? 悲しいのう、寂しいのう。寂しゅうて寂しゅうて、うっかり其処らの人の子でも殺してしまいそうじゃ。……脅し等と、そんなことはせぬよ! 此れは只の事実じゃ。優しい優しいお主は、其処らの屑共でも見捨てまい? ひひひ」
「嗚呼、何と哀れな子じゃ。親に捨てられたのか? こんなにも疵を拵えて……。矢張り、何時の世も人の子は愚かで知の無い野蛮者じゃな。おいで坊や。此のような場所に居っては、風邪を引いてぱたりと倒れてしまうぞ? ……嗚呼、儂が怖いか。うむ、当然のことじゃな。儂はお主よりもずぅっと強い故。嗚呼こら、そんなに泣くでない。食いも殺しもせんよ。……ならば、せめて其の疵だけでも手当てさせよ。其の儘では辛かろうて。……気にするな、只の同情じゃよ。同じ、人の子の被害者として、な」
「はわ……もふ……もふもふ……! もふ〜〜っ!!!!」
「んぅ……何じゃ、儂の午睡を妨げよって……余程重要なことなのじゃろうな……? 下らぬ用で起こしたのならば、其の格壊してやるからな」
「……お主、其の名を何処で聞いた。否、其れを知っておるのは百歩譲って見逃そう。然し其れで吾を呼ぶのは許さぬ。吾は焚忌だ。其れ以外の何者でもない。不愉快だ。吾が見逃してやる内に疾く去ね。でなければ壊す」
「外つ国が気にならぬ訳ではないが、未だ儂は日ノ本で十分かのう。近頃は愉快な小童も、不愉快な小娘も居ることだしなあ。……うん? 儂は誰のこととは云うておらぬよ? ひひ、まあ、判る者には判るじゃろうがな」
「【破壊】の座を奪った理由、とな? 彼奴が気に入らんかったからじゃよ。此の座は彼奴を始末した副産物に過ぎぬ。……何ぞ可笑しなことでも云うたか? ひひ、嗚呼そうとも。お主らが欲する神格の座は、儂からしてみれば只不敬者を始末した時のおまけじゃ。此の座の価値等知ったことか。まあ譲ってやる心算は無いがな」
「そんな児戯のような術で、儂を殺せるとでも? ひひひ、片腹痛いわ。お主らの云う五行思想も、陰陽思想も、儂が生きておった時代に日ノ本で扱われ出したもの。下手をすれば、お主らよりも儂の方が詳しいぞ? ……嗚呼! 其の目、其の顔が見たかった。実に良い絶望じゃ。うん、良いものを見せてもろうた故、苦痛無く壊してやろうなあ?」
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作者名:アカツキ | 作成日時:2021年2月23日 22時