好きな人は遠きにありて愛でるもの…だけど (ページ47)

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A「しゅ、に……」

SJ「大丈夫？……Aちゃん？怪我は……ない？」
A「主任？どうして！」
SJ「いま……動くと危ない……から、じっとして――」
A「でも！主任が怪我して――」

頭を打ったのか、横髪に血が付いている。

じわじわ血が滲み出て、こめかみ辺りを伝っている。

SJ「っ！……僕は……だいじょうぶ。Aちゃんに、怪我なさそうだね……よかった……。」

心配させまいと懸命に笑ってみせる主任。

少し息が浅い……。

JK「ヌナ！ヒョン！今、課長達呼んだから！」
SJ「ああ……ありがと、グガ。誰か……人手を集めて……」
JK「分かりました！ヌナ！ジニヒョンに声かけ続けて！意識持たせて！……あ！すいません！――」

ジョングク君の声が遠のく。誰かに助けを求めに行ったみたい。
私は主任に声を掛け続ける。

A「主任！主任！しっかりしてください！」
SJ「はは……痛って……こんな状況じゃなかったらこの体勢は……なかなかいい眺めだね……。」
A「なに言ってるんですか！こんな時に！」

こんな時までふざける必要ないでしょ？！

SJ「……可愛いAちゃん……を振り回した、バチが当たったのかな――重っ！」

主任が体にのしかかる重さに耐えかねて、肘をつく。

すぐ近くに主任の苦しそうな顔。

A「バチってなんですか！振り回したって何なんですか！」

SJ「……こういうこと」

……主任は弱々しく私に触れるだけのキスを１つ落とした。