好きな人は遠きにありて愛でるもの…だけど (ページ45)

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SJ「あらかた片付いたかな？」

空になった棚を横にずらして通路を作りながらほぼすべての資料を運び出した。

後は台車１台分の資料を残すのみだった。

A「そうですね。まったく……うちの課だけでここまで片付けさせるなんてズルい！」
SJ「あはは！まったくだね！仮保管庫の整頓は他の課に任せてもいい気もしてきたね。」
JK「これでラストですね？じゃ、俺、これ運んできます。」

クルリと反転して台車を出発させるジョングク君。

SJ「はーい、安全運転でねー！」
A「あ、ジョングク君、台車の足元、気を付け」

ガンッ！！

私の言葉は間に合わず、資料で重みを増した台車の角が軽くなったスチール製の棚の隅を引っ掛けるように当たった。

A「あ・・・」

反動で隣の棚がバランスを崩し、私に向かって倒れ込む。

「Aちゃん！！」

「ヌナ！」

避ける余裕がなかった。

ガタガタガターン！！

大きな音を立てて周りの物を巻き込むように棚が崩れた。

　・・・

A「…………痛った……」

倒れた拍子に後頭部と背中を打ったみたい。

JK「ヌナ？Aヌナ！大丈夫？！」
A「うん……大丈夫……。」

え、と、どうなったの？
私の方に棚が倒れてきて……、

痛みでクラクラする頭で起き上がろうとしたら

顔のすぐそばに淡い柑橘系のコロンようなの香り。

え？この香り……。

目を開くと、

　

　

　
両手をついて私を庇うように覆い被さる

　

　

　
主任の姿が見えた。