2年後 ページ31
2年後──。
「今までお世話になりました」
書類や電伝虫で溢れかえった小さな机で事務作業をするスタッフに頭を下げる。
スタッフは椅子から立ち上がると、お辞儀をして私の手を握った。
「こちらこそお世話になりました。リボンちゃんにはいろんなお客さんに対応してもらって本当に助かったよ」
なんだかんだ4年も勤めたデリヘルの仕事。
ようやくこの世界から抜け出せるという開放感と、少しの寂しさを感じる。
「それにしても、新聞社勤務でジャーナリストってエリートの仲間入りだなあ。もうリボンちゃんじゃなくて、“Aさん”だな」
「この仕事でお客様の相手をするときに鍛えられた洞察力が、新聞社の方々に認められたんです。みなさんのおかげですよ」
照れ笑いをしながら、何度もぺこぺこと頭を下げた。
ゾロと再会したあの日からもう2年の月日が経つ。私もゾロも、もう21歳だ。
ゾロはこの島を去った後、ルフィという海賊王を目指す青年と出会い、麦わらの一味の一員として世界一を目指しているらしい。
麦わらの一味は破竹の勢いで世間を騒がせ、ゾロの懸賞金もあっという間に1億2千万ベリーとなった。
もっとも、今は麦わらの一味の消息は不明で、死亡説なんて噂もまことしやかに流れている。
でも、なんとなく、なんの根拠もないけれど、ゾロたちなら大丈夫──私はそう確信している。
ゾロは強い。そう簡単にやられるわけがない。
麦わらの一味の消息が確認できたのは、2年前、シャボンディ諸島に上陸したのが最後と言われている。
私が数ある仕事のなかから、ジャーナリストになりたいと思ったのは、ゾロの勇姿を一番最初に世界へ知らしめる存在になりたいと思ったから。
天国にいるくいなにも、ゾロのことが伝えられるように。
だから、海賊専門のジャーナリストとして、麦わらの一味を追いかけて世界中を飛び回りたい。
もちろん、新聞社というだけあって待遇はかなりいい。
1ヶ月のお給料で、父の治療費も、生活費も、貯金も、余裕を持って賄える。
父と離れて生活することになるけれど、いずれは独り立ちする覚悟はできていた。
離れていたとしても父が元気に生きてくれている──ただそれだけでいい。
「出発は明日なんだっけ？」
「はい。朝一で船に乗ります」
「そっか。
「もちろんです。ありがとうございます」
私は、清々しい気分でスタッフに手を振った。
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
